ハラスメント対策の1丁目1番地、それは「新」職業性ストレス簡易調査票80問版であります(ただし設問追加を推奨)
昨日のnoteから派生したテーマです。タイトルは政治家風にしてみました(笑)。私はストレスチェック制度にはわりと詳しいと自認しているのですが、高ストレス者面談や通常の産業医面談の現場ではハラスメントに関する相談を受けることが多く、昨日の記事を書きながら、80問版には「職場のハラスメント」に関する質問項目があったことを思いだし、それが厚生労働省サイト「あかるい職場応援団」の取り組みとリンクしたからなのです。
さてご存じのように、2020年6月からいわゆる「ハラスメント防止法」が施行され、企業にはさまざまな措置を講じることが義務付けられます。職場におけるハラスメントは企業の組織風土を悪化・劣化させるだけでなく、社会からの信頼を損なうレピュテーションリスクを高めます。このような事態を回避するには、組織全体でハラスメント対策に取り組む必要があります。
なお、企業において各取組が実効性を伴って広まるためには、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための措置と一体的に取り組むことができるようにすることが重要であり、あらゆるハラスメントのない職場づくりを目指すべき、との意見が示されていることから、このnoteでも、パワハラ対策とセクハラ対策は概ね同一、と見做して話を進めます。
まずは傷んでいる部署の見える化から
具体的に企業がパワハラ防止に乗り出す場合、何から手をつければ良いのでしょうか?うっかり検索してしまうと「パワハラ対策ライン研修」や「外部相談窓口の設置」の業者さんサイトばかりが目につくため、それが正攻法のように錯覚させられるのですが、要注意。
詳しくは下の『パワーハラスメント対策導入マニュアル第4版』をご覧いただきたいのですが、これ無料?と驚くほど良くできています。私も産業医先でHR担当者や中間管理職や一般社員さんから相談されると、まずはこのマニュアルを紹介し、以後は社内の取り組みで自走できるケースが多いと感じます。
ハラスメント対策の基本的枠組みの構築手順 【予防❶ー❺】と【解決❻❼】を分けて考える
基本的なパワーハラスメント対策として取り組むべき項目は、以下の7つ。上で上げた「パワハラ対策ライン研修」と「外部相談窓口の設置」は❹と❻に該当しますが、それだけだとごく一部の対策にとどまることがわかりますね。研修と外部相談窓口の設置は外部への支払が発生するため、いかにも対策を打っているように見えるのですが、大切なのは社風の改革とルール作り、見える化、教育研修など、社内での取り組みであることがわかります。
❶ トップのメッセージ:組織のトップが、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す
❷ ルールを決める:就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結する。予防・解決についての方針やガイドラインを作成する
❸ 実態を把握する:従業員アンケートを実施する
❹ 教育する:研修を実施する
❺ 周知する:組織の方針や取組について周知・啓発を実施する
❻ 相談や解決の場を設置する:企業内・外に相談窓口を設置する、職場の対応責任者を決める。外部専門家と連携する
❼ 再発防止のための取組:行為者に対する再発防止研修等を行う
社長!まずは「見える化」から始めせんか!
上記❶❷❸は同時並行で進めることが効率的でしょう。むしろ❸のアンケート結果を基に、❶トップマネジメントに現状を理解してもらい、❷のルール作りにも関与してもらう、くらいの順番が現実的ではないかと思います。逆に❹の教育は「トップのメッセージ内容を含めるとともに、会社のルールの内容、取組の内容や具体的な事例を加えると効果的です」とされているので、❶❷が進捗しない限り、外部委託しても社員の耳には空疎なメッセージしか届かない事になりかねません。
では❸従業員アンケートの進め方ですが、これもマニュアル上は実態把握のための事前アンケート(取組実施前の実態把握のための質問)だけでも23問もあり、社内で質問紙やエクセル・Googleフォームなどで実施するだけでも結構な負担になると思われます。
HR担当者として、まずはまずマネジメント層に課題意識を持ってもらうために・・・・はい、ここで新職業性ストレス簡易調査票短縮版80問の登場です!
80問版の77問目:「職場で自分がいじめにあっている (セクハラ、パワハラを含む)」
労働安全衛生法で義務化されているストレスチェック、現行では職業性ストレス簡易調査票57問版での実施が推奨されていますが、「新」職業性ストレス簡易調査票短縮版80問版を導入すると、その77問目の質問に「職場で自分がいじめにあっている (セクハラ、パワハラを含む)」というのがあります。
まずは「自分が(セクハラ・パワハラを含む広義の)いじめに遭っている」かどうか、しか調査できないものの、これまで全社的なハラスメント関連の社員アンケートを実施したことのない企業にとっては大きな前進です。これが、2020年12月から標準設問数が増やされる可能性のあるストレスチェックに導入され、多くの職場においてトップマネジメントの現状認識と、適切なルール作りへの関与が進むきっかけになるものと期待しています。
もちろん、この1問だけでは心許ない、という組織も多くあると思われますので、その場合は『パワーハラスメント対策導入マニュアル第4版』の事前アンケート(取組実施前の実態把握のための質問)23問のうちから、自社で収集したい項目を、ストレスチェックの質問に追加設定すれば良いでしょう。ストレスチェックも、事前アンケートも無記名ですし、この場合の多少の質問数増加は、職場の環境改善を望む労働者からも理解を得やすいものと思われます。
新職業性ストレス簡易調査票80問版実施の際の注意点
以上、ハラスメント対策導入の契機としてストレスチェック80問版を活用するアイデアをご紹介してきました。実際に80問版での実施を検討し、発注する際の注意点ですが、現行ストレスチェックでの受託実績や80問版での実施経験、特に集団分析のロジックは57問版と大きく異なりますので、その点に注意しながら業者を選択することをお勧めします。
弊社グループの株式会社フェアワーク・ソリューションズでは、ストレスチェックの義務化当初から57問版と80問版の双方を開発・提供し、これまで多くの中央省庁や衆参両院、1部上場企業での実施歴があります。追加設問や高ストレス者面談の実施、嘱託産業医への就任なども承っておりますので、どうぞお気軽にご相談いただければ幸いです。
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編集後記:ここまで読んでくださりありがとうございました。株式会社フェアワーク代表取締役社長の吉田健一です。弊社では随時無料トライアルキャンペーンを実施しています。下記は現在実施中のキャンペーン詳細です。お問い合わせや、○○業界でもキャンペーンして欲しい!などのご連絡は、どうぞお気軽に!
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