言葉は。
お正月の早朝の空は澄み渡っていて、どこまでも広がる青空を眺めながら冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
ポストを覗く。
元旦に届く年賀状は毎年20枚くらいで、今年もその分厚さは同じくらいだろう。きっといつも通り。でも今年はそのいつも通りに、いつもとは違う淡い期待が重なっている。
ポストから少し重みのある年賀状の束をそっと取り出し、部屋に戻ってリビングのソファーに腰かけ、スッと一呼吸。早く見たい気持ちを抑えながらゆっくり1枚ずつ確認する。次々飛び込んでくる友達の笑顔の合間に秋山の顔が自然と浮かぶ。
秋山。秋山の年賀状が見たくて、秋山の言葉が読みたくて、そわそわしてるんだ。
クリスマスイブはサンタさんに扮した秋山が会いにきてくれるなんてなくて、電話で少し話しただけだ。夜には小さな丸いクリスマスケーキを一人で食べた。ちょこんと乗っているイチゴは甘酸っぱかったな。
めくっていく年賀状の最後のほうに見慣れた文字が現れて、心臓がほんの少しトクンと跳ねる。
秋山が今年くれる言葉は何だろう?
「声、聞けてよかった」
短いいつもの一行。
でも去年とは少し温度が違うね。
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二人のその後はこちらです。
お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨