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Photo by
keitarohamakado
こんな夜は。
足りなくて埋まらない。
だから私は花を二輪買って、花瓶に挿した。
オレンジのガーベラ。仲良く並ぶ二輪の花が私の心をやわらかくする。
まるで恋人同士のようなガーベラたち。
しばらくテーブルに頬杖をついて、ガーベラをじっと眺めていたら、ちょっとした悪戯心が浮かんできた。
あなたたちの愛を確かめようか。
親指と人差し指をゆっくりガーベラに近づけて、片方のガーベラの花びらを強く弾いてみた。
弾かれたガーベラはグラリと揺れ、恋人のガーベラに体を倒した。それから二人で振動を伝えあって、抱きあうように絡まりあう。
最後にはぴったりと寄り添って離れないまま静かになった。
お互いが大切な存在なんだろうね。
しあわせなんだね。
ひとりぼっちは寂しいから二輪買ったんだよ。寂しいのは嫌だからね。
だけどその夜、私はガーベラの一輪をそっと花瓶から抜き取った。それからもう一つ花瓶を持ってきて、そこに挿した。
恋人の二人が別々になる。
キッチンに一輪。リビングの向こうに一輪。離れ離れにされた恋人たちが切なげに咲いている。
それでも、いいじゃない。
愛するあなたが見える場所で生きられるっていいじゃない。
しあわせな二人に意地悪をした。
そんなひとりぼっちの夜。
お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨