メリークリスマスが言えなくて。
好きな人の気持ちは手に取るように分かるよ。あなたが私をちゃんと見てくれてること、大切に思ってくれてること、愛してくれてること。そういうのを感じてるんだよ。あのころから、いまも、そしてたぶんこれからも。
でもね、あなたのなかであの子がいるって、そんな気付きたくないことにも気付いちゃった。そんなの手に取るように分からなくてもよかったのに。見ないようにしてたけど、もう無理だね。見えない瞬間はないくらい、あなたからあの子があふれてる。
私のこと、すごく好きだよね。知ってるよ。私が泣いたら抱きしめてくれるよね。分かってる。でもあの子のこと、私よりも好きなんだよね? 隠せないくらいに膨らんでるんだよね。会いたい気持ち、触れたい気持ち、誰にも渡したくない気持ち。こぼれてる。
だけどダメだよ。どこにも行かないで。私のそばにいてよ。
あなたにぶつけたい。どうして私よりもあの子を好きになったのって泣いて責めたい。きっとあなたは言うんだろうな。「なにバカなこと言ってるんだよ」って抱きしめてくれるだろうな。だってあなたは優しいから。優しくなくて優しいから。その優しさはズルイって言うんだけど、そのズルさもぜんぶ失いたくない。
もう少し、もう少しだけ、私だけのあなたでいてね。ほら、もうすぐクリスマスだから。恋人たちの大切な日だから。
サンタさんにお願いをした。あなたがクリスマスに私のそばにいてくれますようにって。二人で買ったツリーの横にサンタさんへの手紙を置いた。祈りを込めて涙で封をした。
「なにお願いしたの?」ってあなたが言った。
「内緒」って私が言った。
あなたの腕の中はあたたかい。すごく安心する。耳元で聞こえる声は私を夢見心地にさせてくれる。大好きだよ。私はずっとあなたが大好きなんだけどね。
別れの言葉を切り出すのは私だって、そんなこと分かってるよ。だって好きな人の気持ちは手に取るように分かるから。あなたはきっと言えないから。別れようって。
言えるかな。言いたくないな。でも言わなくちゃね。あなたへのクリスマスプレゼントは、私とのお別れ。最後に二人で眺めるキラキラのクリスマスツリーが私に勇気をくれるかな。
いままでありがとう。
メリークリスマス。
お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨