桜色

桜を見ると、心が優しくなる。

桜はあなたが私にくれた色。

去年の春、桜がたくさん咲いたころ、あなたが私の手をとって連れて行ってくれたあなたのとっておきの桜のスポット。

少し丘を登って、ちょっと息を切らしたあなたが朗らかな笑顔で私にこう言ってくれた。

「ここが僕の一番好きな景色。君に見せたかった」

その言葉と一緒に私に差し出されたあなたの右手の上には、かわいい指輪があった。

たくさんの桜に囲まれて、指輪は桜色に染まっている。

とても繊細な色。とても優しい色。そしてとても幸せな色。

うれしくて涙が出て、もったいなくて触れることができなくて、震える手で顔を覆った。

近づいてきたあなたがそっと私の左手をとって、桜色のリングを薬指にはめてくれた。

もうこれ以上の幸せはないと思ったよ。

今年も一緒に同じ場所で桜を見ようね。

あのとき感じた幸せはこの一年でもっと増えた。

あなたがそばにいてくれれば、私の幸せは増え続けるんだね。

ありがとう。

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