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あまい時間

あまい声でささやく。
あまい目で見つめる。
あまい手で触れる。

「ねぇ、好き?」
「大好きだよ」

そんなあまいやりとりをして、そっと唇を重ねて、あまい空気に包まれる、あまい時間。

ほかの誰にもこのあまさは出せないよ。
大好きなあなたとだから生まれるあまさ。

なんだか匂いまであまくなってきた。
あなたの体から湧き立つあまさに心がとろける。
私の吐息もあまいでしょ。

ずっとこうしてあまい二人でいようね。

あなたの腕に抱かれながら、あなたのあまい肌に自分を精一杯くっつけて目を閉じる。一緒に深い眠りに落ちる。朝が来て目が覚めてもあなたの腕のなか。

幸せ。

恋っていいね。

あなたの腕からそっと抜け出してキッチンでお湯を沸かす。まだ寝てるあなたを起こさないように、ピーッて音が鳴りかけた瞬間にすぐにガスを止めて静かにカップにお湯を注ぐ。コーヒーの香りが部屋に漂う。私のカップにだけお砂糖とミルクをたくさん入れてかき混ぜる。

「コーヒー入ったよ」

あなたのそばにいって耳元でささやいたら、あなたが小さく動いて目を開けた。眠そうな顔してまたちょっと目を閉じたから、あなたのまぶたに優しくキスをした。

あなたがふっと笑って私を抱き寄せてこう言った。

「君の夢を見たよ」
「どんな?」
「んー、あまい夢だった」
「あまい夢?」
「うん、君のぜんぶがあまくてね、とても幸せな気分だった」

あますぎる私たちだね。

大好き。


#短編小説 #掌編小説 #あまさ #恋



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