雨の日の夜に。

いつものようにコーヒーを入れるあなたの背中がなんとなく疲れている気がして、そっと背中に、手と頬をあてた。

私に触れられたあなたは動きを止める。

少しだけそのままで、二人でじっとしていると、雨がベランダにあたる不規則な音が聞こえてきた。

カン・・・カン、カン・・・。

雨は液体なのに、ベランダの金属の柵にあたるからかな、硬い音を出すんだね。

その音に紛れて、あなたの心音も聞こえてくる。あなたの音はゆっくりと、でも確実に、規則的な音を鳴らす。

トクトク・・・カン、トクトク・・・カン・・カン。

あなたの背中、私の手と頬、二人が触れあう箇所が次第にあたたかくなってきた。

あなたは何を考えてるのかな。

外は今日は少し寒いよね。冬が近いから。私はそんなことを考えてるよ。背中から、テレパシーみたいに伝わってる? ねぇ、聞こえる?

あなたがカップをテーブルに置き、私のほうを振り向いた。

それから私のことを優しく包み込んで、こう言った。

「少し寒くなってきたね。冬が近いんだろうね」

私はあなたの背中に回す手に力を込める。

大丈夫だよ。

寒くなっても、疲れた日も、私がそばにいるよ。

あなたは私を抱きしめながら「大好き」ってささやいた。

私も大好き。




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