寝ても覚めても

ねぇ、私たちの終わりが見えてきたね。

神様の悪戯で出会った私たちは、きまぐれな神様と同じぐらいきまぐれに時を過ごした。ときどき抱きあって、ときどき離れて。寂しくなったら愛を求めた。

時間を数えた事はない。私たちには時間なんて存在しないから。時間は生まれては消え、消えては生まれ、泡のように弾け飛ぶ。

不確かな愛に心を奪われた私たちは欲しいままに体を重ねる。私たち以外は誰もいない世界で、そんな虚無の中で抱きあって眠る。揺れる心を互いの肌で鎮める。永遠の中に堕ちていく。

でも時間が生まれはじめた。終わりが近づいている予感がする。時間が向かう先は終わる時。命の如く。終わりに向かって私は微笑む。細い指をあなたの頬にあて、あなたの頬骨に口づけをする。頬骨の隆起に沿って唇を這わせる。愛しい人。

だけど愛なんてただの幻。掴もうとする手はそれごと消えていく。ゆらりと妖しげな煙になって消えていく。

ねぇ、私をあなたの瞳に入れて。時間も永遠も飲み込んで、いまこの瞬間に抱かれたい。いずれ消えゆく愛の言葉に酔いながら。

寝ても覚めても。

あなたの愛してるは夢かしら。

夢と現実を重ねながら刹那の愛を抱きしめる。


お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨