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野菜嫌いが野菜好きになる魔法のアレ#元気をもらったあの食事

小学校一年生の時、先生が「おうちで食べる、好きな食べ物はなんですか?」と質問してきた。入学式後の1番最初の授業参観だ。家庭によってはお母さんだけじゃなく、お父さんやおじいちゃんおばあちゃんまで見にきていて、生徒より親の人数の方が多く、廊下まで溢れた保護者たちはどうにか可愛い子供を見るため右往左往していた。

席が名前の順だったのであ行の苗字の子から1人ずつ答える。今考えると、私立の学校でもないのに、お家で食べる料理って限定した先生は何を考えていたのだろう?きっと前までは「お母さんが作る料理」だったのをどうにか変更した結果だったのかも知れないが、ひとり親や共働き、児童養護施設の子も増えている世の中で中々酷な質問だ。

案の定、「マック」と答える子がいて「それお店だよー」と突っ込まれ笑いが起こっていた。もし、テイクアウトしてお家で食べていたなら、それは間違いじゃなかった気がする。「牛丼」と答えた子も松屋か吉野家のものだったかもしれないし、「ラーメン」と答えていた子はインスタント麺だったかも…。今は全ての子の答えを覚えている訳でもないし、本人に聞くこともできないので真相は闇の中だ。

それとは逆に小学校受験組の回答も面白い。私も「お受験」経験者だから、すぐに「あの子も受験したんだ〜」と気づいた。小学校受験の面談でよく聞かれれる質問の1つに「好きな食べ物は?」がある。塾で習った正解の回答は「お母さんの手作りのオムライスです」とか「お母さんと一緒に作る餃子です」とか、常に母親が食育に気を付けている感を出すのがポイントだ。なるべく手の込んだものだったり、一緒に育てた野菜を使ってできた料理を答えると高得点になる。知識力と家の環境が試される。とはいえ、「お受験」の面接をする先生も慣れたもので、その子の回答が何度も言わされて出てきた言葉なのか、本当に自分の頭で考えているものなのか判断する為、怪しいと思った子には「他には?」と聞くので、頭の回転の良い子じゃないと中々難しい。

それでも、みんなが「カレーライス」だの「ハンバーグ」と単語で答える中、「私の好きな食べ物はお母さんと一緒に作るお味噌汁です」と答えると「すごーい」となるのが世の中というものだ。

そんな中、私がなんと言ったかというと…

「緑の葉っぱです」だった。今、思い出しても本当に恥ずかしい。先生も「え?」ってなったし、その日一番の笑いをとった。別にウケを狙ったわけではない。その当時、母がハーブの沢山入った「グリーンサラダ」を作ってくれていた。いつも家で「あの葉っぱのやつ食べたい」と頼んでいた。「グリーンサラダ」という言葉を知らなかったのだ。とはいえ、「グリーンサラダ」も野菜をちぎってドレッシングをかけて食べるものなので、『料理』している感はないだろう。ただ、私の母は野菜嫌いな子にさせない為に色々なサラダとドレッシングを作ってくれていた。季節のフルーツを使ったイチゴや柿のドレッシングもあれば、人参やセロリを擦って作った野菜のドレッシング、マヨネーズに、コチジャンや味噌を入れて野菜スティックにつけたりと必ずドレッシングを手作りしてくれた。

中でも1番人気だったのは『でんでんドレッシング』だ。このお陰で野菜が大好きになった。名前の由来はわからない。母もわからないと言っていた。レシピは下記に記載した。
【でんでんドレッシングレシピ】
りんご一個、玉ねぎ半分、人参3分の1、玉子一個、サラダ油100cc、ニンニク1片、白味噌大さじ1、塩、胡椒、味の素、少々。をミキサーにかけて、最後、軽く火にかけて、冷めるまで待つ。

あの日、「緑の葉っぱです」と答えた私は本当に酷いが、こんなに美味しいドレッシングを作ってくれた母は偉大だ。入学式後、少し経ってから私の学年で「でんでんドレッシング」が流行した。いまだに、「あのドレッシングのレシピ教えてほしい」と連絡が来る。入学式の赤っ恥は今では笑い話になっている。この記事を読んで下さった方は是非作ってみて、感想を聞かせてほしい。

#元気をもらったあの食事

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