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大企業で役職定年となった直後に年収アップの好条件で転職できた秘訣とは?(2)

 大企業社員の生活は恵まれている。
「役員になれない大多数の社員は恵まれていないのでは?」と突っ込みたくなるかもしれないが、現実の話として、中小企業の社員に比べれば恵まれている点が多々ある。
例えば退職金や企業年金の制度。
大企業に勤めていると、有るのが当たり前のように感じてしまうかもしれないが、中小企業ではこのような制度がないケースが多い。老後の備えはiDeCo等を使って自分で積み立てていくほかなく、会社が一部拠出してくれることによるメリットは得られない。
 
通勤費や住居費の面でも恵まれている。
中小企業では支給される通勤費に月額上限が設定される場合も多いが、大企業では通常、上限なく全額支給される。なかには新幹線通勤まで認められているケースもある。
社宅や家賃補助などで年に100万円以上のベネフィットを得ている社員もザラにいる。 転勤で地方や海外に異動になれば、単身赴任手当てや海外赴任手当、寒冷地での光熱費補助等で、月数万円~数十万円支給されたりもする。

家族手当てや在宅勤務手当て、資格手当てなどの各種手当てを支給したり、人間ドックの受診費用を全て負担する会社も珍しくない。
 
社員食堂で市価の半値くらいで昼食を食べれるとか、(市場の金利が低いため有難みは減ったが)社内の低利融資制度、福利厚生制度としての保養地での宿泊施設利用補助、ゴルフ場やスポーツクラブの優待利用、自社製品・サービスの優待、社員持株制度など、大企業の社員が給与や賞与以外で得られるメリットは枚挙に暇がない。
 
極め付けは何といっても留学制度だろう。バブル期に比べるとかなり減ったが、今でも年に数人程度を海外MBAに社費で留学させる制度を持っている大企業も多い。楽天の三木谷氏やサントリーの新浪氏のような著名な経営者も、興銀(現みずほ銀行)や三菱商事の社内留学制度で、いずれも学歴としては世界最高峰であるハーバード・ビジネススクールのMBAを取得している。
海外留学生に選ばれれば、学費を会社が負担してくれるだけでなく、留学期間中も給与が支給されるため、機会費用も含めれば、2年間で4千万円程度のベネフィットが得られることになる。(ちなみに、会社の留学制度でMBAを取得した人が最終的にその会社の役員になることはあまりない。MBAを取得した人の多くは、外資系企業やコンサルティング会社などに好待遇で転職してしまうためである。)
当然応募者も多いので、制度の対象に選ばれること自体が難しいが、中小企業ではあり得ない制度である。
海外留学とまではいかなくても、一人あたり数万円から数十万円程度の費用が掛かる社外研修(費用は会社が負担)を同期社員の3割程度~全員が受講できるような制度であれば多くの大企業が導入しているし、中にはソフトバンクのように、TOEICで900点以上取れば100万円の報奨金を出すような大企業もある。
 
大企業に長く勤めていると、このような制度が有って当たり前のように感じてしまい、あまり有難みを感じないものだが、退職したり、中小企業に転職したりして初めて、(平日飲みに行ったりしなければ、)会社のおかげであまりお金が掛からない生活を送っていたことに気付くことになる。
 
福利厚生面や各種手当、研修制度だけではない。
くだらない話かもしれないが、名の通った一部上場企業に勤めていることは「聞こえが良い」というメリットもある。
世間話的に相手の勤め先を尋ねたり、名刺交換することは、特に親しい間柄でなくても行われ、訊かれた方や名刺交換を求められた側も特に失礼とは感じないものである。
たとえその会社の中で役職が低かったり閑職に就いたりしても、役職や部下の有無まで訊かれることは通常ないので、一流企業に勤めているという好印象を相手に与えることができる。
 
最近は少なくなったようだが、昔は結婚式の披露宴に親の勤め先関係者が出席したり、親の勤め先の社長が祝電を送ったりする(もちろん、人事部が事務的に手配するだけだが)ことが当たり前のように行われていて、関係会社への出向を命じられた大企業の社員が、「娘の披露宴まで出向は待ってくれ」と人事部に泣きついた、といった、半分笑い話のようなケースもあったと聞く。
 
そのうえ、大企業は中小企業に比べ倒産リスクが著しく低いので、社内での出世を目指さず割り切って仕事をするのであれば、大企業の社員は全般的に恵まれており、居心地が良いと言っても良いかもしれない。
但し、それも同期入社の社員が初めて役員になる40代後半~50代半ばくらいまでの話であるが。(続く)

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