見出し画像

未来のためにできること

私は、特別頭も良くないし、外見も良くありません。
おまけに体力もないし、本当に取り柄と呼べるものがない・・・
そんな私にできることが一つだけありました。

認知症ケアの背景

介護職をしていると、必ず認知症を患っているご利用者様に出会う。
認知症の方へのケアは本当に難しくて大変なことが多い。
頭の中で、病気なのだから仕方ないとわかっていても、理不尽に怒られたり、セクハラをされたりするとイラッとしてしまう。

そこで段々と口調が強くなっていって、虐待に発展してしまうケースもある。暴力や暴言は良くないけれど、介助者が抱く苛立ちは理解できる。
優しい心が廃れていくような、もどかしさを抱く葛藤の毎日。
きっと未来もそれは変わらないと思う。

ただ最近になって、私の中で認知症の方への見方が変わった。

昔の写真

現場で、ある認知症の方のケアをさせていただいたときに
お部屋の棚の上に、昔の家族写真が置いてあったのが見えた。

そこには今の利用者様としてではなく、
お母様としてのその方が写っていた。

旦那様の隣で、凜とした表情で綺麗に微笑んでいる。
優しそうな素敵な女性だった。
この昔の表情を見ると、認知症という病気がこの方の本来の姿を隠してしまっているんだと、身にしみて感じた。

写真からの想像でしかないけれど、
きっと色々な経験を積んで学んで、たくさん苦労して、自分の幸せを掴んでこられたんだろうなと思った。
一生懸命に生きてきた。それが伝わった。

この方のケアに携われて誇らしい。
こんな素敵な方と接することができて嬉しい。
そう感じた。

それから、特に認知症の方のケアに入るときは、
昔のこの方を想像するようになった。

未来のためにできること

認知症の方の置かれている状況。想像だけど、これだけならわかる。
認知症の方は常に「忘れる」恐怖と不安の中にいること。
その程度はとても計り知れない。

だからこそ理解が難しい。
理解したとしても、人間だから心が乱れ葛藤する。

だけど、病気の裏にはその方の本来の人間性がある。
変わってる性格の人も中にはいるけれど・・・素敵な方もたくさんいる。

そのことを忘れずに、
認知症の方の心を少しでも「汲み取りたい」と思う気持ちを
持ち続けることが、私が未来のためにできることだと思っている。

もちろん介助者の葛藤がある背景も忘れずに!


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?