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夢の話


高校生の頃、怖い夢を見ました。
鬱になりかけていた時の夢です。


金縛り  

夢を見る前に必ず起きる。
この金縛り。 
それは布団に入ってから突然起こる。

足も手も動かせない。
目は閉じたくても閉じられない。
何かに縛り付けられたような感覚。
よくオカルトとかで金縛りの話は出てくるが、
こんな感覚なんだと思った。

そして、次第に強烈な睡魔に襲われる。
嫌な予感がする。
それなのに瞼が重く、目を瞑ってしまう。
眠りたくない。眠ったら、
またあそこに行くことになる。

でも抵抗したくてもできない。
ブラックホールに吸い込まれるような
いや、落とし穴に落ちるような感覚?

表現に迷うが、そんなのに似た感覚で
夢の中に落ちる。


夢の世界

夢だとはわかっているけど、
妙にリアルな空間。
薄暗い、夕焼けのような、
だけど、黒っぽくて、不安にさせるような
赤い光に包まれた自分の家の中。

自分は布団で寝ている。
だけど、身動きが取れない。

目は動かせる。
辺りには誰もいない。

だけどそう見えるだけ。

誰かいる。

キッチンから
カチャカチャと金属音が擦れる音が聞こえた。

1DKの家だから、部屋がキッチンに近い。
だからか、よく聞こえた。

なんだろう。
そう思っていると金属音が止んだ。
すると、不思議なことに 
恐怖心が一気に込み上げてきた。

心臓が嫌に高鳴るのがわかる。

次の瞬間、なにかが見えた。

それは人の形をした黒い影だった。
男か、女か、ここからじゃ、よくわからない。
手には銀色に光るナイフを持っている。

お前なんか嫌いだ

影がそう言ってゆっくり近づいてきた。
私は、助けて!助けて!!と叫んだ。
でも声が出せない。

ゆっくり影が近づいてくる。

叫び声を何度もあげた。
泣きたくても涙も出てこない。

そして影がゆっくりと私の顔の前に現れた。

影の顔は

見たことのないような
憎悪に満ちた

自分だった。

そいつは私の体を押さえ込んだ。
自分の力とは思えないほどに強かった。
抵抗したくても、体は動かせない。

嫌いだ。お前なんか、嫌いだ。

そう言ってそいつがナイフを振り上げた。


そこで目が覚めた。

夢のあと

夢から目覚めた直後、
何故か、心臓の奥が
やけにじんわりとした感触がしていた。

血も出てないし、傷もない、痛みもない。
だけど刺されたような感覚がする。

汗は不思議とかいていない。
だけど、妙に体が温かい。
熱いや冷たいではなく、温かいんだ。嫌に。

体があるようでないような
麻痺が残っているような
この変な感じに、恐怖が募る。


助かったのに、殺されたようなあの感覚。

今でもずっと覚えている。

そして刺し殺そうとしてきた
自分の見開いたあの鋭い目。

夢なのに、ずっと脳裏に焼きついている。



思い返してみると、高校生の頃は
特に自分のことが嫌いな時期でした。

いつも心の中で
「お前なんか嫌いだ」
と心の中で自分に言っていました。

もしかしたらもう一人の自分が
限界を感じたから、
仕返しに来たのかもしれないなぁと思いました。

それからは
自分のことを責めすぎないようにしています。

失敗もするし、欠点や短所もある。
でもそれって私だけじゃない。

どんな天才も、美人も、優しい人も
誰だって変なところは必ずある。

自分だけじゃない。

こんな自分もいていいんだと
思えるようになったのは
社会人になってからですが、それからあの夢は見なくなりました。

限界まで自分を追い込まないようにしようと
思えました。

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