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井上陽水の「少年時代」は父との夏を思い出す。

5年前に亡くなった父親が好きだった曲、
井上陽水の「少年時代」を聞くと、
胸が締め付けられるような
懐かしい気持ちになる。

子供の頃、
田舎のおばあちゃんに行くときに
父の運転する車で、この曲がよく流れていた。

車の窓を開けて
透き通るような水色の空と、
田舎の緑や夏の風、
虫たちの声とともに、
もわっとした熱い空気に身を包まれながら

あの曲に、夏を感じた、あの日。  

ひどく懐かしい。

……………………

父はいつも通りの寡黙さで。

母はぼーっと窓を見つめて、
たまに父に話しかける。

私は窓を開けながら、
車の、夏の空気を走り切る風を気持ちよさそうに浴びている。


あの頃を懐かしみ、気持ちが込み上げてくる。

あの当たり前だった日常は、
もう戻ってこない。

それが最近、とても切なくて涙が出てくる。 

大人になっていくとは、
こういうことでもあるのかなと、
何となく思った。

……………………

父が付き合ってくれた自転車の練習。
初めて1人で自転車で出かけたときに、
こっそり後ろから、私の安全を見守ってくれていたこと。

電気屋に売っていた、
可愛い「ねこのクッション」を
母はだめと言ったけれど、
父が買ってくれたこと。

私が虫嫌いのために、
家に虫がいたら、退治してくれたこと。

最期は母と私に看取ってほしいと
言っていたこと。

死ぬ直前に言ってくれた、

ありがとうの言葉。


全部大事な記憶で、
大切にしていきたい思い出。

どんなに年を取っても忘れたくない。

この歌はそんな私を助けてくれる。

父と過ごした日々や最期のときの
一コマ、一コマを思い出させてくれる、
そんな素敵な歌。

私はこの歌がとても好きだ。

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