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ゼロからの特別補講で、クリエイティビティを開花させてくれた先生

これから小娘が出逢った先生との思い出を綴っただけの、先生シリーズも細々とお送りする。
第一弾はこの方。

これは、小娘が小学4年生の時の話。
当時担任をしてくれたのは、女性のベテラン先生だ。

彼女は小娘の創造力を信じて、特別補講をしてくれた。特別補講と言っても、休み時間にアドバイスをもらい、授業の時間別教室で黙々と作業をするというもの。

クラスの子全員にそういうことをしていた訳でなく、先生の中で何かの基準があり、それがたまたま小娘だっただけの事である。

1時間目 国語

夏休み期間中に、小娘は自由研究の代わりに読書感想文を書くことにした。母親がその年の課題図書を5冊くらい買って来てくれ、どれでもいいから自分のピンと来た本で感想文を書いてみな!と渡してくれた。

小娘が選んだ本は「スズメの大研究」という本だった。なんでこれで読書感想文を書こうと思ったのかは謎である。が、母親が鳥好きで、鳥の本など家にたくさんあったのは覚えている。が、やはりなぜこれにしたのだろう。物語とかの方が純粋に描きやすいのに。

案の定、読書感想文の中身は全然ダメだった。スズメの鳴き声について言及した記憶があるが、とにかく内容が薄っぺらくて、全然気の利いた感想文になっていなかった。

すると先生は、夏休み明けに小娘の提出した感想文を見て、ダメ出しはしないものの、もう一度一から書いてみない?と提案してくれた。小娘も不完全燃焼感が否めず、その上、もはや書き方がわかっていなかったので、「お願いします。そして書き方を教えてください」と頭を下げた。

すると、先生は、じゃあ一緒にやりましょうか!と、ただでさえ多忙なのに、昼休みや20分休みを小娘の文章能力育成の時間に充ててくれた。

小娘はその教えに忠実に従い、もう一度一から読書感想文を書き直した。母親が以前買ってくれた「スズメの大研究」の本には、たくさんの付箋が貼られ、先生が引用部分や、小娘の感じたことを一つ一つメモして、忘れないようにそのページに貼ってくれた。

文章構成が終わると、クラスで授業をしている間、隣の空き教室で、黙々と文章を一から書き直した。最後に先生からもう一度訂正をもらい、最終版がやっと完成した。

あの時間はとても楽しくて、充実していた。今でもあの達成感や高揚感は身体に染み付いている。

その後、その読書感想文は県に出品され、賞を頂いた。もちろん先生のアイデアも入っていたので、100パーセント自分の力で勝ち取った賞ではないけれど、それでも何かをやり遂げたという喜びは何物にも変え難いものとなった。

小娘はここで先生に教わった文章の書き方を忘れることはなかった。そのおかげもあり、中学校入学後に課された読書感想文の課題(これは全員強制の夏休み課題)でも発揮され、なんと学年で代表者として選ばれて、これまた県へ出品された。あれは間違いなく、先生の教えが小娘に伝わり、活かされた瞬間だった。

そして今こうしてNOTEで投稿をしているのも、先生の教えの一部が伝染しているからかもしれない。

2時間目 図画工作

秋頃に入り、図画工作の授業で水彩画が始まった。テーマは「不思議な学校」だったと思う。小娘のテーマは、「海中学校」的な感じで、教室の中が水でいっぱいになり、水族館のように魚たちが泳いでいる学校を描いた。

先生はそんな小娘のありきたりの絵を、もっと面白くできるからと、色々なアドバイスをしてくれた。特に印象的だったアドバイスは、校舎の周りを緑色に塗り、太陽の光の反射を演出するというものだった。校舎の中は深い青や水色を使って水中を表現し、校舎の外は緑色を使い、水面を表現していた。

「ここをこんな風にしてみようよ!もっと面白い絵になると思うわ!」

そんな背中を押してくれるような声かけをずっとしてくれたのにも関わらず、今日で完成させましょう!という日を過ぎても、小娘の絵は完成しなかった。先生からせっかくアドバイスをもらったのに、期限内に終えることができなかった小娘は、少しご機嫌斜めで気を落としていた。すると先生は

「あなたは一人でもしっかりやるべきことをできるわね。納得のいくまで、隣の教室でしっかりやってらっしゃい。」

と小娘を信じて、時間を与えてくださった。

その結果、その後その絵は、学校を越えて県の展覧会に出品され賞を受賞した。もともと書道をやっていたので、それで賞を貰うことはあったが、絵で賞をもらうのは初めてで、とても嬉しかったのを覚えている。

この記事を書いていて思い出した。
大学の頃も、クリエイティブなことが大好きだった小娘だが、きっかけはよくわからなかった。だが、今は自信を持って言える。起源はこの先生との出逢いだ。

先生が私に創造することの愉しさを教えてくれた。

小娘の軸のどこかにいつもクリエイティブというのはあった。それを開花させてくれたのは、彼女だった。先生、私の興味を引き出し、磨いてくれてありがとう。

私もいつかそんな先生になれるように、日々精進していきます。


写真は何年か前に私に衝撃を与えた美術展に行った時のもの。塩田千春展ー魂がふるえるーの作品の一つである。

塩田千春さんについて知りたい方はこちらから💁🏻‍♀️

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