18.木下大サーカスでの急変対応


  数年前、

  看護師3年目の冬、

  私はとある経験をした、

  木下大サーカス、名前は1度は聞いたことがあるだろう、

  

  サーカスを見に行くのは十数年振りだった、



  その日は、友人と見に行った


  結構目の前でみえるいい席だった、


  公演が始まって数十分たった頃


  私の座っている席の後方から悲鳴が聞こえた


  明らかに、常軌を逸した声だった



  私は、すぐにその声のもとに向かった、

  体が勝手に動いていた


  その場にいくと、小学生位の少し大きめの子が

   意識がない状態だった、


   暗くてよく見えず、席が沢山で

   下に寝かすこともできないと、咄嗟に判断し、

   とりあえず抱えてテントの外にでた

   

   小学生にしては大柄だったので

   重かった、


   外にでると呼吸をしておらず、


   何があったか 母親に聞くと、かなり動揺していた、

   

   離島から来てと的はずれな回答を最初はしていた



   とりあえず背部叩打法し、食べ物が外にでてきて、

    呼吸を再開し、意識が戻った


    最後の食事の時間を聞くと数時間前と答えた、


    その時私と少し遅れて、

    

   障害者施設の付き添いで来ていた看護師も

   一緒に外に出てきた、

   その看護師には申し訳ないことをした、

   私も焦っていたのもあって、

   その看護師をサーカスで雇われていると勘違いをし

   少し粗めの口調で、「なに、ここの看護師?聴診器貸してなど、」言ってしまった。

    障害者施設の付き添いで来ている看護師と分かるとすぐに謝罪をした、


    その看護師から聴診器と血圧計をかり

     血圧をはかり、呼吸の観察をしていた

     血圧を測る頃には意識は清明になり

     名前も言えるようになっていた、


     母親の話からするに、

     ご飯沢山食べ過ぎて、

     それがサーカスの興奮と相まって吐いてしまい

     吐いたものが気道を閉塞したのであろう、

     

    

  


    サーカスのスタッフが救急車を呼び

    その子は搬送された、

     救急隊は特に私から申し送りを受けるでも、なく

     感謝の言葉を述べるでもなく、

     行ってしまった、

     救急隊も忙しく、疲れていたのだろう、

     それにしても、冷たい反応だった 

     あんた誰?、そんな話どうでもいいというような態度だった、

     


     母親から感謝の言葉があったかは覚えていない、

    恐らくなかったと思う、

     子供の無事で、それどころではなかったのだ

   それは仕方ない、


    その時そばにいたスタッフ恐らくバイトからはありがとうございますと言われたがそれだけであった、


   別に代金を割引きしてほしいなど、思わなかったが、   せめて、サーカスの責任者から感謝の言葉は欲しかった。当然感謝されるためにやったわけではないが、

 その時はそう思った。


また、地元新聞などで人助けした際に

感謝状などもらうことがあるが、それも期待したが、無理な話である私の住所、名前すら聞かなかったのだから、

  

   それから地元新聞を数ヶ月目を通したり、ネットで検索したが、木下大サーカスでそういう事が起こったことは

  

探すことができなかった。


  誰かから、褒められるためにやったわけではないが、

  自分でお礼や新聞掲載を断るならいざ知らず、


 まったくそういう気配がないことに少しモヤモヤもしたが


  助けたあの子は無事だったのかがとても気になった、


  消防に問い合わせることも、もしかしたらできたかもしれない、だが当時の私はそこまで頭が回らなかった、


   まぁ、新聞に載ってないからきっと死にはしなかったのだろうと思って終わった、


   そこからしばらくは、看護師として

   やっぱり人を助けたい、人のためになりたいと

   思う気持ちがより一層強くなった

   バーンアウト症候群に陥った一端はこのことも深く関わっているのではと思う。

    


    

   

  

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