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真夏の果実

<曲・アレンジ>

リリースから3年後に楽曲を振り返って

さかのぼって前年のインタビュー。

更にさかのぼって、前々年サントラアルバムリリース時のインタビュー。

また更にさかのぼって、映画『稲村ジェーン』のサウンドの傾向について

四段逆スライド解説(笑)。

上記の「イントロのハープ~ペギー・リー」は
アルバム「貝がら」の『The Gold Wedding Ring (金の結婚指輪)』から着想。
この曲は「やさしい夜遊び」で桑田さん何回か選曲していますね。

NHK Eテレの『Eテレ 2355』内の「おやすみソング」としてもお馴染み。


レコーディング・エンジニア今井邦彦氏

「 ”真夏の果実 ”もミックスが終わり、(桑田さんからの)『いいね』という電話の後に『やっぱりやり直したい』と言われまして・・。出来上がってから『もうちょっと何とかしたい』と。

当時、無数にあるコンソールやアウトボードのツマミを以前の状態に呼び戻す ”トータルリコール” という技が使えるようになったんですが、それですべて再現してやり直しました。」
(中略)

--イントロが決まるまでに3日ほどかかったというエピソードが

「3日は大げさだったかもしれないけど、グロッケンの音色決めとフレーズでそれぐらいかかりました。この辺りはそんなことだらけでしたね。
1日で1音しか録らなかったような日が平気であった時代でした。」(2019年)

印象的なイントロのグロッケン<3音>。たった3音なのに、あの豊潤さ、深みはこういったこだわりから生まれてくるのですねえ。名イントロですからなあ。

ベーシスト亀田誠治氏
「『真夏の果実』を聴いた時に、もうイントロ2秒で、2小節で号泣してしまったんですね。キンコンカーンというグロッケンの音しかないのに、そのメロディだけで泣けてしまった。」(2013年)

ベーシスト亀田誠治氏
「『真夏の果実』は僕にとってJ-POPの中で5本の指に入るほど愛してる曲で、今でも大好きです。

リリースされたときは、僕はまだアマチュアとプロの境目ぐらいの年頃だったんです。ようやく音楽が仕事になりはじめたっていうくらいの。その時にね、『真夏の果実』のイントロを聴いて、ラジオから流れてきた♪ソ・ド・ソっていうそれだけのメロディなんですけど、それを聴いた瞬間に鳥肌が立って『誰の曲だろう?』って思ったら、桑田さんの声が聞こえてきて『これサザンなんだ……!』って。

これは桑田さんと小林武史さんとの共同プロデュース作品なんですけど、そこでサザンオールスターズの底力をもう1回感じるとともに、プロデューサーが入るとすげえんだなって。」(2011年)

<背景>

映画『稲村ジェーン』プロデューサー森重晃氏のインタビューより

森重:クランクインする前の段階で、「真夏の果実」「希望の轍」以外の楽曲は全部作られていたんですよ。当初、桑田からは「「忘れられたBIG WAVE」を主題歌として考えてる」と聞いていて。

ーー「真夏の果実」「希望の轍」が作られたのは……?

森重:撮影の後ですね。映画の撮影が10月か11月ぐらいに終わって、編集していた段階で、桑田がライブツアーの合間に「希望の轍」と「真夏の果実」を作ってきて、これを使いたいと。「希望の轍」は、主人公がダイハツ ミゼットに乗って、山の上に向かうシーンで使いたいということになって、翌年の4月に新たに撮影したんです。

ーー曲に合わせて、シーンを追加した?

森重:というより、“曲の長さに足りるように”ですね(笑)。山の上に上がっていく場面はもともとあったんですけど、長さが足りなかったから。

ーーそれくらい楽曲と映像のバランスにこだわっていた、と。

森重:そうですね。あの2曲はそもそも、撮影が終わって、桑田自身が刺激を受けて作った曲だと思うんです。それはすごくいいことだし、こちらとしても嬉しいですよね。桑田に「これどう?」ってスタジオで聴かされた時に、すごいなって思いましたから。「希望の轍」と「真夏の果実」はある程度、曲に合わせて映像を編集してるんですよ。
(2021年)

<2000.09.05記>
<2023.06月/07月/08月 追記>


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