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絵と会話はできるのか


閲覧ありがとうございます。
M1です。

今回は、
『絵と会話はできるのか』のテーマで話させていただきます。


絵画鑑賞の目的

美術館などでの絵画鑑賞の目的は人それぞれです。

  • 知っている絵の実物を見てみたい

  • 美術館・絵画の写真を撮りたい

  • 海外から来た貴重な作品を見たい

などなどありますが、ほかに

絵画(アーティスト)と会話をする

という目的を持つ人もいます。


この『絵画と対話』とはどういう意味なのでしょうか。
私なりの考えを述べていこうと思います。



絵画からのメッセージ

絵をずっと見ていると、まれにふとした気づきが生まれることがあります。
これを私は絵からのメッセージと受け取っています。

たとえば、以下の絵画をご覧ください。

クールべ作『波』

この絵画を見て私は
『クールベは海に脅威を感じていた』
と思いました。


海の荒々しさが余すことなく描かれており、私はこの絵画に恐怖を感じました。
そしてそのことから、
『クールベも海の恐怖を表現したんだろう』
という感想を持ちました。


これが私の考えるこの作品からのメッセージです。

つまり、

海は怖いんだぞ


とクールベは伝えたかったんだと私の中では解釈したのです。



メッセージは絵画からか、自己からか


絵画をみて受け取るメッセージは人それぞれです。

先ほどのクールべの作品を見て

海の美しさを描いている

と感じた方もいらっしゃるでしょう。



メッセージが人それぞれということは、

アーティスト本人の考えと同じとは限らない

ということです。

たとえばクールベが
『海の美しさを表したかった』としてこの作品を描いても、

鑑賞者全員がその感想を受け取るわけではありません。

クールべ『波』
国立西洋美術館展示より

では鑑賞者の絵を見た感想はどこから生まれるのでしょうか。

私が思うに、

自己の認知・記憶している事柄が感想に影響を与えている

と思います。

簡単に言うと、

私が海を怖いと思っているから、『この絵は海の怖さを表している』と思った

ということです。



アーティストのメッセージ通りでないといけないか


ここまでで、アーティストの想いと鑑賞者の感じ方は異なることを説明しました。

さてでは、アーティストの想いと異なる感想に価値は無いのでしょうか。

私はそうは思いません。

むしろ、

アーティストの想いと自分の感想の違いを楽しむべき

だと思うのです。

もともと絵画はエッセイなどと違い、言語化されて分かりやすい表現手法ではありません。

私としては

絵で相手の考えを的確に理解することは不可能

だと思うのです。


クールべ作『波』
国立西洋美術館展示より


ではなぜ人は絵を見るのでしょうか。

それは

自分と違う感性があると知るため

だと私は思います。

人間は自分の考えに正直です。

話し相手のことを『〇〇な人間だ』と思うと、そのように見えてきてしまうのです。

しかし現実には、相手を的確に理解することは非常に難しいです。

そのことを理解するために、絵を見るのです。

自分の考えは完璧ではなく、人と違うことが当たり前だと知ること

それが絵を見る意味だと私は思います。


おわりに

今回は絵のメッセージについて話しました。

どこかの本か動画かで聞いた話ですが、

人は自分の脳の中でしか判断できない。つまり絵画への感想は全て主観で、アーティストからのメッセージなどないのだ

とおっしゃっていました。


人の認知できることはその人に依存していて、いかに相手のことをわかったつもりになっても所詮は自分の脳内だけでの判断なのだ

と私は思います。

普段は絵の紹介をしていますが、今回は絵の見方のような記事を書いてみました。

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