『明日また来る戦争』:企画

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人が死に、人が死に、また人が死んで、ときには殺すことも――これがぼくらの日常。

あらすじ

 年端も行かない子供さえ戦力として駆り出される酷い内戦が、ようやく終わった。元兵士で十五歳になるンブンブは生活のために、残存する地雷や不発弾の除去作業に参加する。あるとき爆破事故に巻き込まれ、強い力で吹き飛ばされたンブンブは意識をうない、次に目覚めるとまったく違う世界にいることに気付く。そして、そこでは二大国が争う戦が長く続いていた。
 少年兵ノンヴィータと親しくなったンブンブは、戦争を止めようと行動を起こす。が、彼の思いも寄らない“体質”が判明し、意に反して戦闘に加えられてしまう……。

第1話のストーリー

 足かけ四年にも及ぶ内戦がようやく終結したA国。農地は荒れ、川や湖の水は汚染され、以前の穏やかな生活はまだ取り戻せていない。が、少しずつ、確実に復興が進んでいる。そんな中、元兵士の少年ンブンブは生活のために地雷及び不発弾除去の“バイト”に参加。一週間目に不発弾処理の失敗による爆風に巻き込まれ、死を覚悟するも、意識を取り戻してみると別の世界にいた。
 そこは中世欧州風の異世界で、魔法も存在していた。

第2話以降のストーリー

 もちろん、ンブンブにはそんなことすぐには分からない。初めて目にする人種や街並みに戸惑うばかり。一方、行き交う街の人々もンブンブを奇異の目で見ては、早足で立ち去る。ただ、気味悪がっていると言うよりも、かまっている暇はないという雰囲気がにじみ出ていた。
 それでもやがて気に掛けてくれる人が現れた。当初は言葉がちんぷんかんで意思の疎通はままならなかったが、程なくして通じるようになる。どうやらこの世界には魔法があると理解するンブンブ。言葉の壁くらいなら簡単に超えられる理になっているらしい。

 ンブンブが辿り着いたここは、大陸の半分近くを占めるXという国だという。皆、話してみれば応じてくれるのだが、ンブンブが助けを求めるとほとんど相手にされない。誰もが何かに突き動かされるように、急いでいた。
 やがて空腹から行き倒れになりかけたンブンブへ、休暇で帰郷中だったX国の少年兵ノンヴィータが救いの手を差し伸べる。ンブンブは人心地付いたあと、ノンヴィータに教えられる。この世界では大国XとYの戦争が長年続き、周辺の小国が巻き込まれていると。

 自らの経験もあり、ンブンブは一刻も早い和解が大事だと訴える。対するノンヴィータも、身体こそ大きい方だが実は気が弱くて兵士向きでないと自覚しており、意気投合。二人はノンヴィータの所属する部隊の兵舎へ向かい、若い兵士を中心とした反戦活動を起こそうと試みる。が、内通者が出て敢えなく頓挫。ンブンブはスパイ容疑で取り調べを受ける。疑いは晴れたものの、その身体が物理的攻撃にも魔法にも無敵であると判明。戦争の最前線に送り出される。

 一年近くを経て、ンブンブたちが当初望んだのとは違う形ではあったが戦争終結。元の世界に戻る術が分からないンブンブは、こちらの世界で生きる覚悟を決め、復興作業に関わる。

 雪が降り積もったある日、自宅として与えられた家の脇に、十二、三歳くらいの少年が横たわっているのを見付ける。少年は明らかにこの世界の者ではなく、ンブンブと同じ世界から来た、同じA国の民族に見えた。恐らくンブンブと同様、不発弾か地雷の処理の際に事故に遭い、飛ばされてきたのだ。懐かしさと帰る方法が分かるかもしれない淡い期待感から、彼は少年アバを手当てし、治るまで面倒をみた。

 全快したアバは、助けてくれたンブンブが内戦時の敵で、自分の家族を殺した張本人だと知る。
 異世界では不死身のンブンブの身体を、同じ世界から来た少年アバが手にした刃物は容易に貫いた。

 ――次の瞬間、意識を取り戻したンブンブは、自分が元の世界にいると知る。不発弾処理の事故で吹き飛ばされたが奇跡的に無傷で済み、意識を失っていただけだった。そして異世界にて刺された傷もまた、消えていた。
 そこへ一報が入る。別の場所で起きた不発弾処理の事故で、一人の少年が亡くなったと。

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