小学校に泊まったら。
私の住んでいる地区では子供会の活動がとても盛んで
地区対抗の運動会やお祭り地蔵盆や遠足等とにかく色々とありました。
その中でも夏恒例の4地区の子供会が集まり、
小学校の校庭にテントを張り一泊するという
なんとも斬新なイベントがありました。
確か、4年生から参加できたと思います。
ある年の学校お泊り会での出来事です。
開催時間は16時頃からだったと思います。
4区画にグラウンドが割り振られており
地区ごとにテントを張ります。
その年は、私の地区の小学生だけでも20人程はいました。
そこに中学生が6人参加していました。
中学生は一班に2名配置される感じで
大体、一班5名ずつで5組のチームに分かれました。
子供たちのテントの両サイドには大人のテントが設置されていました。
各地区ごとにテントが張られたらイベントがスタートします。
テントを張り終えた頃には少し薄暗くなっていました。
そこからは校内をチームごとに歩く肝試しが始まり、
大人達が幽霊に成り切り脅かしてきます。
前のチームとの間は30秒。
皆で数えてスタートしていきます。
この学校にまつわる七不思議をほとんどの子供が知っていて
それを思い出しながら進むのはとても恐怖でした。
①一階の端の女子トイレの鏡を見ると
自分の後ろに立つ女の子が見える・・・
②音楽室に飾っているベートーベンの絵の目が動く・・・
③理科室に続く廊下を一人で通ると足を引っ張られる・・・
④理科室にはホルマリン漬けされた赤ちゃんがいて鳴き声が聞こえる・・・
⑤3階の渡り廊下に続く手前のトイレの鏡に映る自分の姿が歪んで見えたら
夜中に誰かが迎えに来る・・・
⑥体育館のグランドピアノは夜中に手首から先の手で曲を弾いている・・・
⑦体育館の舞台下の椅子の収納庫を覗くと誰かと目が合う・・・
などなど。
学校の七不思議ってどこの学校にも存在しますよね(笑)
コースは事前に聞かされており中学生が誘導してくれました。
用務員室を通り職員室。
その先にあるトイレ・・・
渡り廊下手前のトイレ・・・その先に続く理科室・・・
そして階段を上り音楽室へ・・・
最後は体育館です。
体育館には最後の場所という事もあってかなりの人が
残っていました。
当然ですが最後まで七不思議の現象は起きませんでした。
ただ肝試しという雰囲気と、脅かされるドキドキは
小学生には程よい恐怖感で楽しかったのを覚えています。
全てのチームが回り終え、その後はご飯の時間です。
グラウンドでは保護者達がごはんを沢山用意してくれていました。
肝試しの話で他のチームの友達と盛り上がり
楽しく食事をしました。
その後は少し自由時間となり
ご飯作り担当の保護者は後片づけをして帰っていきました。
夜になり、寝支度を整えてそれぞれのテントに入りました。
各テントでは皆、なかなか寝付けない様子で
あちこちから笑い声が聞こえてきていました。
就寝時間を過ぎた頃から、
テントを見回りに来る人の姿がありました。
私達のテントも、まだ誰一人寝ておらず
テントに近づいて来る音を感じ取り・・・
しっかり寝たふり。
そこから数時間、時刻は夜の11時頃でした。
私と友達の2人以外は寝ていましたが
寝つけない私達は小声で話していました。
外からは、大人数人が小声で話している感じでした。
しばらくして、すっかり静まり返ったグラウンド。
友達も眠そうに横になっていました。
さすがにまだ話そうとは言い出せず、
横になり静かにしていると
私もいつの間にか寝てしまっていました。
そしてどこからか流れてくる音で目が覚めました。
その音に集中していると
ピアノ?の様でした。
何の曲かは分かりませんでしたが
確かにピアノの様な音が聞こえていました。
ですが私以外は誰も起きず
テントの外を覗くと、数人の大人が見張りをしている感じで
各地区のテントの中心辺りに立っていました。
でもピアノの音に誰も気付いていない様子でした。
私は静かに自分の寝ていた場所に戻り
横になっていましたが、
ずうっと鳴っているんです。
ピアノが・・・
学校の七不思議をふと思い出し
怖くて怖くて掛布団を頭からかぶり
耳元にぎゅっと布団を押し付けていると
シャッ!シャッ!
テントをこするような音が。
かなり近くで聞こえたので
誰かが寝返りを打ったんだと思い
少し顔を上げましたがすぐに床に顔を付けました。
すると
シャッ!シャッ!
またです。
次は何故か強烈に怖くて顔を上げられず
グッと布団をかぶり体を小さくしていました。
その後は嘘の様に眠ってしまい
目が覚めると周りは皆起きていて
外もがやがやと騒がしくなっていました。
友達やお姉さんに
ピアノの音や
テントを擦るような音
の話をしましたが
やはり誰も聞いておらず、
「怖いと思ってるからそんな夢を見たんよ」
と笑われました。
夢だったのでしょうか。
あの時の恐怖はしっかり覚えていて
目覚めた時、頭から布団を被っていました。
次の年もその次の年も参加しましたが
あの日以来、何も起こる事はありませんでした。
夢だったのでしょうか・・・
最後まで読んで頂き有難うございました。
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