連載小説 不器用魔女の子育て 第1話 「決断と名付け」
野山と海に囲まれた何の変哲のない町『メルヘース』。人口1万人程度のこの町のはずれの山には薬作りを生業とする魔女がいた。姿は20代前半くらいの若い女性だが、誤って失敗作の薬を飲んでしまい体の成長が止まって寿命によって死なない体になっていた。魔女と言っても町の人を呪ったり、攫ったりすることはなく、薬を町の人に売る代わりに謝礼として食料や必要品を分けてもらうwin-winの関係を築いていた。
ある日の朝6時ごろ、いつものように魔女が愛犬と一緒に山に薬草を取りに家を出た。薬草を探し