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連載小説 奪われし者の強き刃      第3章20話 「助っ人到着 戦闘開始」

中央部へ出発する日の早朝、悠たちは千代が用意したジェット機に乗り込んだ。

 大和:
 「彩音さん。大体どのくらいで中央部に着くんすか?」

 彩音:
 「大体1時間弱ね。」

 大和:
 「意外とすぐっすね。もうちょいかかると思ってました。」

 悠:
 「まぁジェット機だしな。ちなみにこれ、千代さん家の自家用ジェット機だから汚すなよ。」

 大和:
 「え?怖。汚したらどうなるんすか。」

 彩音: 
 「いいから大人しく座ってなさい。師団長の勘が当たったら今回の戦いはかなり厳しいものになるから。」

 大和:
 「はいっす。」

東部から出発してから1時間後、ジェット機は第7師団の基地の屋上へ到着した。悠たちがジェット機から降りると、第7の副師団長峯風が出迎えていた。

 峯風: 
 「皆さん、お待ちしておりました。こちらにどうぞ。師団長達がお待ちです。」

 悠:
 「あぁ。」

峯風に案内されてオペレーター室に入ると、そこには李だけでなく林杏と冥々もそこにいた。

 李: 
 「呼ビ出して悪カったナ。」

 悠:
 「大丈夫だよ。また、手強い敵が現れたみたいだな。」

 林杏:
 「はい。しかも、八部鬼衆が現れてから毎日、魔物の襲来数が激増してこちらだけでの対応が厳しくなって。」

 悠:
 「そんなに増えたの?」

 冥々:
 「大体1日平均100数体ですね。八部鬼衆が来るまでは来ても十数体程度だったのですが。」

 大和:
 「約10倍なんて。被害は?」

 林杏:
 「そっちは大丈夫。負傷者や行方不明者はゼロ。」

 李:
 「とりアエず、作戦会議ヲしよう。これヲ見てクレ。」

李はタブレット型の端末に八部鬼衆の姿の写真と戦闘データを表示して、情報を共有した。

 悠:
 「成程な。聞いてる限り、東西南北に戦力を分散させてきてるからこっちも戦力を分散しておいた方がいいな。」

 林杏: 
 「そうですね。どのように分散しましょうか。今まで通りに南に冥々・東に私・西に峯風がいいのでしょうか。」

 悠:
 「いや。南は開けて、東に林杏と冥々。西に李と峯風、北は俺が行こう。」

 李:
 「じゃア南ハ誰が?」

 悠:
 「大丈夫。ちゃんと助っ人呼んであるよ。」

 林杏:
 「助っ人?」

 女性:
 「はーい李ちゃんズ。お姉さんが助っ人に来たよ。」
 
皆が声の聞こえたほうに振り向くと、そこには第9師団師団長のアクエ・ヴェセリ―が立っていた。

 李:
 「ア、アクエさん。」

 アクエ: 
 「ちょっと李ちゃん。なんでそんな嫌そうな顔してるのかな。」

 林杏:
 「アクエさん。西部の方は大丈夫なんですか?」

 アクエ: 
 「大丈夫よ。そっちは相方に任せてきた。それに悠くんのお願いだし、来ないわけにはいかないよね。」

 悠:
 「ありがとな。アクエも来たことだし、配置をおさらいしよう。北は俺と大和。西は李と峯風、東は林杏と冥々。そして、南はアクエで。」

 アクエ:
 「え~私一人なの?」

 悠:
 「その方が都合がいいだろ。強敵が現れた時は特に。」

 アクエ:
 「流石。」

配置確認も終わってそれぞれが配置場所へ向かっている途中、中央部全土に警報が鳴り響いた。

 悠:
 「彩音。魔物の出現場所と数は?」

 彩音:
 「各方面に基地から約50キロ地点に出現。数は全方面1000体は超えてます。」

 悠:
 「かなり多いな。アクエ呼んどいて正解だったな。市民の避難はどうなっている?」

 彩音: 
 「李師団長によると、数日前に基地周辺にある地下シェルターに全市民の避難が完了しているそうです。なので、市民襲撃の心配はありません。」

 悠:
 「流石。彩音はそのままアクエのサポートに回ってくれ。こっちももうつくし、大和もいるから大丈夫。」

 彩音:
 「かしこまりました。お気をつけて。」

 悠:
 「あぁ。行くぞ大和。」

 大和:
 「はいっす。」

一方、アクエも魔物の大群が目視できるところまで来ていた。

 アクエ:
 「うわ~魔物がいっぱい。何体くらいいるのかしら。」

 彩音:
 「ヴェセリー師団長聞こえますか?」

 アクエ:
 「彩音ちゃん?」

 彩音:
 「師団長の命により、こちらのサポートに回ります。『ギフト』は使わない方針で大丈夫ですか?」

 アクエ: 
 「えぇその方針で。」

 彩音:
 「わかりました。襲来している魔物の数は1000体を超えてます。また、そのほとんどが人獣型とキメラ型となっています。」

 アクエ:
 「了解。何か異変があったら伝えてちょうだい。」

 彩音:
 「かしこまりました。」

各師団長は魔物の大群のもとに到着し、戦闘が開始された。

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