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【ドラマ感想】下剋上球児第9話!本物さながらの準決勝はあの日見た光景だった

いよいよ星葉との準決勝。山住先生がベンチにいない初めての試合に、今大会で初めて先発をつとめる根室。だれもが不安を抱える中始まった試合は、ドラマの域を超えた、本物の試合を見せてもらった。

なぜリアルな試合を見ているような感覚に陥ったのか。今回はこれをテーマに、私なりに紐解いていきたいと思う。ネタバレを含むため、見たくない方を回れ右を・・・!


リアルな実況

9話は準決勝の一試合を丸々一本に収めていた。その試合の実況には、TBSの南波雅俊アナウンサー。解説者役にはなんと、楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手がサプライズ出演!

見ている側は驚きが隠せず、正直最初のうちはドラマどころではなかった。 ラヴィットでもお馴染みの南波アナが顔出しでドラマに出演したので、ラヴィットファンである私はさらに興奮してしまった(笑)実際に南波アナはWBCの実況も担当していたため、リアルな試合を実況で彩った。

田中将大という大物が、地方大会で解説を担当することはないだろう。しかし今夏の甲子園の第一試合では、WBC監督を務めた栗山英樹が解説をしていたため、ありえない設定でもないのだ。 野球のテレビ中継で欠かせない実況に、本物アナウンサーと本物のプロ野球選手をもってきたことで、より本物に近い試合となったのだ。


久我原と楡の交錯シーン

試合の中で衝撃を与えたのが、8回に久我原と楡が交錯したシーンだ。 頭を打った久我原は立ち上がれず、病院へ運ばれた。 私はこの場面に強い既視感を覚えた。それは今夏の甲子園の夏の決勝と、WBSC U-18のアメリカ戦だ。

夏の決勝、慶応対仙台育英戦の5回、左中間へ飛んだ球を取ろうとした、仙台育英のセンターの橋本とレフトの鈴木が交錯した場面。 慶応の大応援団を前に、2人の声は届かず連携が乱れた。 ドラマでも星葉の大応援団を前にザン高野球部は戦っていたが、久我原と楡も連携がうまくいかなかった。

WBSC U-18のアメリカ戦も同様、4回にショートのキャプテン小林とレフトの橋本が交錯。2人は最後までプレーを続けたが、小林は試合後に病院へ。決勝戦まで試合には出られず、ベンチでの応援をよぎなくされた。

ドラマの久我原も48時間は安静が必要で、次の日の決勝戦もおそらく出られないだろう。体は動くのにベンチで見守るのはきっとつらいだろうが、彼の明るさが何度もザン高野球部を助けた。きっとベンチでもその明るさを発揮してくれると信じている。甲子園では絶対に活躍するはずだ。

今年のこういったオマージュが、このシーンにあったのかと思ったのだが、調べてみると実際は違っていた。越山高校のモデルになった白山高校でも、同じような交錯が起きていたのだ。 ミスはどんなに注意しても起きるときは起きてしまうし、これが野球のリアルだ。このリアルさがドラマにより臨場感をもたしてくれた。


9回の攻撃

9回2アウトで迎えたバッターは楡。久我原との交錯で気落ちしていた彼だが、絶対に勝つという思いをのせ、バットを振りヒットを導いた。

続くバッターは中世子。四死球で進塁し2アウト1、2塁。中世子が指差したその先には、代打のエース犬塚。今試合の先発は根室に譲ったが、この場面はエースに託された。

絶対に勝つ、終われない、もっと先に行くと気持ちを込めた一振りは、右中間へ。楡、中世子がホームを踏み、逆転のさよならを遂げた。このシーンはまるで、WBCの準決勝、メキシコ戦の9回を見ているようだった。

大谷翔平の二塁打、吉田正尚の四死球、吉田が指差した先には、村上宗隆。これまで不調続きの日本の4番はここで覚醒し、左中間へのフェンス直撃のタイムリーで逆転勝利を遂げたのだ。

中世子役の柳谷がどういう意図で指差したのか真相はわからないが、この展開を知っていたなら、監督とも相談し取り入れたのかもしれない。

今年見た光景をこのドラマでもう一度見ることができ、また胸が高鳴ってしまった。本当にあったことだからこそ、あってもおかしくない展開に、より一層面白みが増したのだ。


最終話に向けて

よりリアルな試合だと感じれたのは、今年見てきた光景が詰まっていたせいかもしれない。リアルに見てきたからこそ、ドラマを通して本物の試合を見れた。

製作陣がどう意図して作ったかは定かでないが、それを想像するのもドラマの楽しむ方法の一つだ。 こぼれ話になるが、日沖壮磨が南雲監督に気合いを入れられヒットを打ち、その後ホームへ帰るシーン。

壮磨はヘルメットを脱いでホームを踏んだ。これは壮磨役の小林が監督と話し合い、WBCでの大谷翔平を意識したと放送後のインスタライブで語っていた。より臨場感をもたせるために、俳優や監督たちが試行錯誤していると思うと、また胸が高鳴ってしまう。だからドラマが大好きなのだと。

次週はいよいよ最終話。甲子園まであと1勝。ザン高野球部はどんな活躍を見せてくれるのだろう。これまでの成長は、胸がいっぱいになるくらい感じてきた。その集大成となるのは非常に寂しさを感じる。叶うなら、もっとザン高野球部を見ていたい。悔いが残らないよう、全力で彼らを応援したい。

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