異常はないです課
波は『喫茶 花』のマスターのお使いの為
ワールドブルー社に来ていた。
勝手知ったる会社だが、今は少し事情が違う。
故に入館手続きをきちんと済ませ、コーヒー豆を届けようとしたのだが……
あいにく、慌ただしいだけあって秘書たちには会えず、フロントにコーヒー豆を渡すというなんとも奇妙な行動をして帰ろうとしていた。
ふと、波は今のワールドブルー社の様子をみたくなって足を伸ばす事にした。
「お、いいところにいるじゃないか。呼ぶ手間が省けた」
波の歩いている廊下から横にのびる、大企業には似合わない暗がりが続いていく廊下の奥から、彼女を呼び止める声が響いた。
姿をみせた男の、眼鏡の奥の冷たい瞳。
今の時代に「蒼社長の孫」と平然と宣うその男は、波の姿を見て興味深そうに笑っていた。
「ちょっと来てよ」
波はため息を一つついて、男と共に暗い廊下へと入っていく。
少し進んだその先で、男は足を止めた。
その足元には
人が転がっている。
「やっぱり・・・またですか?そうホイホイと人を殺されても困ります」
その様子を見て平然とした様子でため息をついた波は、笑っている男へと近寄っていった。
「だってぼくのおじいちゃんの邪魔するのは許せないからさ。今から君を呼ぼうと思ってたんだ」
「そう易々と呼ばないでください。今日はたまたま小花さんからお遣いを頼まれたから良かったものの……」
「ねぇ、波。ここに異常はない?」
波の小言を遮って男が急に質問を投げかけた。
通常なら問題だらけの状況だが、波は男の顔を真っ直ぐに見て平然と応える。
「マイトンさん、異常なしです」
「アハハ!だよね!じゃ、ぼく喫茶店行こっかな。波は?どうする?」
「私は今日はもうあがっていいとのことなんで、帰ります」
踵を返し立ち去る波と並んで歩きながら、男は面白そうに問いかける。
「また推し活?すっかりこの時代に馴染んだねぇ」
「マイトンさんが、社長の孫だって言ってるのにこの世界に馴染んでいる方がおかしいでしょう」
二人が立ち去った廊下は
何もなくただ静かで暗い場所だった。
異常なし
発動すれば『問題はなかった事になる』
※この物語はフィクションです※
※ワールドブルー株式会社で働く人達と、その周辺の人達の物語をみんなが勝手に書いていく物語です。
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波は『喫茶 花』の従業員。マイトンさんはこのあとこちらへ?
喫茶店のマスターはこの方🌸
おや?波さん??
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