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キタダヒロヒコ詩歌集

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三重県で詩や短歌、俳句を花びらのように書き散らしてきました。noteマガジンにまとめていきます。ぜひお読みいただけましたら嬉しいです。あなたのどこかに残る言葉がありますように。
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2022年11月の記事一覧

キタダヒロヒコ詩歌集 80

星座のように街に散らばるkeyを思いコインロッカーで眠った、みんな     キタダヒロヒコ コメントやおすすめをつけてくださると励みになります。

キタダヒロヒコ詩歌集 79

詩を書くときはたいていいつも 言葉に衝き動かされるままに書いているので、 なんだかこんなふしぎなのができたりする。 キタダヒロヒコ ふるい坂は意思を持っていて (とてもイタズラっぽい意思だ) だれかが…私だとか あなただとかが登るとき たとえば…よく晴れた冬の朝の はりさけそうな青い海 またたとえば クリスマスを待つ街の かなしい光の海 たとえば まだ生まれる前の 夢の中で見たはずの城郭 など ぱっくりとひらけた切通しのさきに ふるい坂はいつも そんな美しいものたちを

キタダヒロヒコ詩歌集 78

いつか独楽のように倒れる首都ひとつまだ水際に回ってる、まだ     キタダヒロヒコ コメントやおすすめをつけてくださると励みになります。

キタダヒロヒコ詩歌集 77 ミカン色の記憶の野辺

ミカン色の記憶の野辺を馳せゆけるTAIYO⑪SIPIN、痩身     キタダヒロヒコ このユニフォームでシピンがグラウンドを駆け回っていたのは、もう50年近くも前のことなんだなあ。 大洋ホエールズがどの球団の前身かも、今ではピンと来ない人がきっと多いだろうなぁ。 コメントやおすすめをつけてくださると励みになります。

キタダヒロヒコ詩歌集 76

冬の街に似合うことばを いくつか用意してあたためておく 綿のような 鳥の羽のような 私の指ではうまく扱えないことばたちを。 やはりだ 私は羽を何枚も足もとに落としてしまう まるで何ヶ月もかけて こぼしてしまう砂のように。 風が吹き雪が降りやがて この砂の一粒一粒が一顆の石になり そこに淡い小春の陽がさす日にも きっとあなたを思っていようとおもう どこを歩いていても なにを読んでいても ちぎれ雲が額のはるか上あたりにいて 北の街のほうへと 流れていこうとする な

キタダヒロヒコ詩歌集 75

闇に慣れて窓にやうやく触れるやうにやつとあの日のあなたを解る     キタダヒロヒコ コメントやおすすめをつけてくださると励みになります。

キタダヒロヒコ詩歌集 74

伊勢市の中心部にあるK中学校。シンボルマークの大ケヤキも冬支度がすすんでいます。 学校に隣接する、かつて紡績工場だったところが大きな商業施設になってから、10年以上経ちます。K中の校舎も建て替わり、赤十字病院もすぐ傍に移転してきて、周囲の景色は一変したけれど、この大ケヤキだけは以前とすこしも変わりません。 壁の向こうに見えるのが紡績工場のノコギリ屋根だった頃に作った句を、思い出しました。 冬の日のある昼下がりに、この句を口ずさんでくれた人のことも。 午後三時 君と校舎と

キタダヒロヒコ詩歌集 73 あかるい沈鬱

 雨の休日。こんな日はあの日のことを思い出す。  あの瞬間。「昭和」が終った日だ。  冷たい雨が降っていた。私はとうとう明日が締め切りになってしまった卒論を、もうあきらめかけていた。「頭冷やしてくる」とだけ言って雨の中、歩きに出たりした。  テレビは、延延と「昭和」回顧を流し続けていた。やがて小淵長官が映し出され、あすからの時の名を告げた。あの、どこにもよりどころの無さげな音韻を耳にした瞬間の、巨大な違和感を忘れることはないだろう。 「『ヘーセー』…? 『ヘーセーガンネン』

キタダヒロヒコ詩歌集 72

皿に載る魚の顔の右半分は皿の煮汁に浸かつてゐたり     キタダヒロヒコ コメントや「おすすめ」をつけていただけるとたいへん励みになります❗

キタダヒロヒコ詩歌集 71

何もかも吹き飛ばしつつうつとりとゆきたい、きみの南隣りを     キタダヒロヒコ コメントをくださったり、おすすめをつけてくださるととても励みになります❗

キタダヒロヒコ詩歌集 70

夜もすがら月吹き落す千人の李白ひらひら水底に消ゆ     キタダヒロヒコ 写真:長澤英俊「李白の家」(1982年) コメントやサポートをお待ちしています。

キタダヒロヒコ詩歌集 69

〈探偵のやうな姿勢だ〉ばつた獲るわれに対つてばつたが言へり     キタダヒロヒコ コメントやサポートをお待ちしています!

キタダヒロヒコ詩歌集 68 大砲を撃つひと

大砲を撃つ  萩原朔太郎 わたしはびらびらした外套をきて 草むらの中から大砲をひきだしてゐる。 なにを撃たうといふでもない わたしのはらわたのなかに火薬をつめ ひきがへるのやうにむつくりとふくれてゐよう。 さうしてほら貝みたいな瞳だまをひらき まつ青な顔をして かうばうたる海や陸地をながめてゐるのさ。 この辺のやつらにつきあひもなく どうせろくでもない貝肉のばけものぐらゐに見えるだらうよ。 のらくら息子のわたしの部屋には 春さきののどかな光もささず 陰鬱な寝床のなかにごろご

キタダヒロヒコ詩歌集 67

きさらぎににほふ淡海(あはうみ)我がうちになほも無色の水域ありや     キタダヒロヒコ 季節はずれシリーズ第一弾。笑 コメントやサポートをお待ちしています。