見出し画像

1999年から2003年までの阪神タイガース その③

アイパーは頻繁に連絡をくれた。

やんやん元気か、次いつ来る?という連絡から始まり年間スケジュールからチケットの発売日、手配はもちろん
巨人のゴシップネタまで。

私生活ではAT限定の自動車免許取得に50万円以上かかった。
メールやネットが使えない。
漢字の読み書きもロクに出来ないくせに週刊ベースボールや月刊タイガース、巨人のゴシップ記事が載った週刊誌はコンプリートする。

朝5時からパン屋で働き、ナイターには必ず間に合うよう大石駅前に原付を置いて駅の便所で排泄を済ませ勝利後は21号門前で300人以上の阪神ファンをまとめ上げホワイティうめだまで阪神への愛と巨人への憎悪を叫び倒す。
排泄は、もちろん大だ。

2003年時にタイガースが優勝した際に
『テリー伊藤氏が阪神電車の全ての駅のトイレ掃除をする』という企画があり大石駅の便所掃除をしたシーンがテレビで映し出されたが、あそこはアイパーが試合前に排泄していた聖地と思うと非常に感慨深かった。

他にも伝説は沢山ある。
ここには書けないような内容ばかりだ。

僕は何よりも
『ジャイアンツの選手が皆、アイパーを知っている』
事が凄いと思った。

「長嶋を呼んできてくれ!!!」
と試合前叫び散らしヘッドコーチをキレさせた日は僕にとってアイパーの完全試合だ。

アイパーはキチガイだけど最高のタイガースファンだ。
誰よりもタイガースを愛していた。

アイパーは色んな友人を紹介してくれた。
甲子園球場アイパー軍団オールスター。

・消化試合で道頓堀に飛び込みいつも線香を持ち歩く、歩くダイナマイトこだま
・いつも焼き鳥を6本買う生活保護のガンプラ
・12球団を応援するMAZDA
・売り子を引っ掛ける沖縄から来たMAZDA
・その売り子がまたメンヘラオーバードーズ でも顔は可愛かった
・『今日は何の日?』誰も求めてないメールを毎日送ってくる加古川の童貞 小井
・高学歴ホームゲーム皆勤外村
・吹き出物からとんでもないものが出てきそうな直視出来ない土偶系不細工ジャイ子
・大阪ドームで中学生と本気の喧嘩をする33歳マナブ
・小田原、もののけ、タラスコさん
・一番仲が良かったフジ君とハマちゃん
・85年優勝時から甲子園に通っておりいつも話を聞かせてくれた遠山さん

上記に挙げたが、氷山の一角だ。
ここには書けないような人物も沢山存在する。
1〜9番どころか4番を打てる奴らばかりだった。

アイパーのお陰で
甲子園は知り合いでいっぱいになっていた。
待ち合わせは甲子園駅前のアンスリー前、
ダイエーのフードコートで試合前にいつも集まってゲラゲラ笑っていた。

みんな生きる事に不器用だった。
高校生が関わってはいけないような人ばかりだったけど、
高校生の僕にいつも優しかった。

ダイエーフードコートから甲子園まで。
「おうやんやん!!どないや!?」
みんな僕に焼きそばやカレーを奢ってくれた。

いつもお腹を空かせていたが、
食べ物に困った事が無かった。
二次会が白熱し終電を逃した時はいつもフジ君が泊めてくれた。

アイパー軍団は心の空腹まで満たしてくれた。
感謝している。

続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?