怖いもの見たさ
夏の風物詩としては定番中の定番である「怖いもの」。今月のBRUTUS特集も「怖いもの見たさ」だそうです。
カリギュラ効果
今月のBRUTUSでは444の怖いものを紹介していき、最後に最も怖い講談師のお話が特別付録になっているそうです。
実際に読んでいないので何故444か分かりませんが、何とも直球なテーマで、最後を特別付録にするところも含めて、この時期ならではの間違いなく「見たくなる」効果的な仕掛けだなと思います。
ダメと言われると返って見たくなる衝動を、行動心理学ではカリギュラ効果と言い、「怖いもの見たさ」とは、この心理が影響していて、好奇心や未知への不安を解消したいという人間の本能のような物が影響しているそうです。僕にはこの説明が妙に納得できるように思えるのです。
怖いが青春の1ページになる?
職業柄、行動心理学に関心があるという背景もありますが、「怖いもの見たさ」と聞いてふと、高校1年の林間学校の時に行われた「肝試し」を思い出しました。
クラスの男女がくじ引きでカップルになり、決められたコースを二人きりで行って帰ってくるという定番の夜遊びですが、思い返せば、ここには人間がドキドキする要素が踏んだんにに盛り込まれていたんだなあとあらためて気付かされます。
「くじ引き」という単純明確なドキドキ。
「誰とカップルになるか?」のドキドキ。
「あの子は誰と?」のドキドキ。
「二人きりで歩く夜道」のドキドキ。
「想像以上に近い距離」へのドキドキ。
「怖い」はずの肝試し。全てのドキドキがいつの間にやらワクワクに変換され、青春の1ページを飾る一大イベントになっていたのです。
タイトルの妙技
そう考えた時、「怖いものみたさ」という言葉だったから、僕の脳は楽しい方の思い出を連想したのだと気づきました。
つまり、今月のBRUTUSのいちばん凄い仕掛けは「ホラー」でも「怪談」でもなく、「怖いもの見たさ」という言葉を選んだことでしょう。
「怖いもの見たさ」だから、それだけでワクワクしてしまう効果があるんじゃないかって、思います。
このタイトルじゃなかったら、よくあるただの怖い特集レベルとしか思わず、決して青春の1ページを思い返すことなだしなかったのかもしれませんね。
言葉って、凄い。
(ぴん🫵)
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