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【散文詩小説】時代遅れの寵児⑦時代

もうすぐ、
社会人として五年目を
迎えようとしていた。

石の上ではないが、
流石に3年以上過ごすと、
その場所の良し悪しも、
外界との差にも気づく。

何より顕著だったのは、
後輩たちの「離脱」だ。

間違っちゃいけないのは、
「脱落」ではないと言う事。

「逃げ恥」なんて言葉が
トレンド入りする時代とは
違う。

「ブラック」を「ホワイト」と信じ込むのが大人の嗜み。

「終身雇用」と「年功序列」の上に成り立つ、「逃げる」ことが恥ずかしい時代。

そんな時代に、後輩達が
次々に去っていった。

「お世話になりました」
と言われる度に、
(何もしていないよ)と、
心の中で呟く。


「逃げる」ことより、
「逃げない」ことの
恥ずかしさ。

自分より若い世代の離脱は、
時代が既に変わりつつある
兆しに他ならなかった。

20代にして、
俺はもう時代遅れだった
のかもしれない。

もし、あの時決意して
いなかったら…。

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