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地域の担い手~災害時要援護者とかゴミ出しルールとか

災害時要援護者とは

「災害時要援護者」とは、高齢者や障がい者など災害が起こったときに避難などで周りの人の手助けを必要とする方たちをいいます。

私の住んでいる自治体では、こういった方たちを地域の人が支援していく取り組みを行っています。
具体的には、自治会などの地域団体が事務局となってその地域で「要援護」の必要性が高いと思われる方の名簿を本人の同意のうえで自治体から受け取ります。
可能性が高いかどうかは、基本的には年齢や福祉情報から判断しているようです。

具体的な流れ

・地域団体は、いざというときに要援護者を手助けする「支援者」をボランティアで募り「支援者」と「要援護者」をあらかじめマッチングします(支援者は基本的に近所の人たちで、1人の「支援者」に対して通常は複数の「要援護者」がマッチングされる)

・「支援者」は「要援護者」のお家を訪問してその人の状況を聞き取るとともに、この取り組みの趣旨を説明のうえで実際に「要援護者」として登録されるかどうかの意向を確認。そこで登録を希望された方を「要援護者」として登録し、安否を表明するタオルを渡す。
※記憶違いのため修正しました。登録はあくまで自治体が本人の意向を確認のうえ行っています。

・いざ地震などの災害が起こったとき「要援護者」は自身が無事なときはあらかじめ渡されたタオルを家の門扉などに括っておく。タオルがくくられていれば「支援者」は無事と判断して別の「要援護者」の安否確認をする。

タオルが括られていない場合は「要援護者」がけがをしている可能性があるため、状況を確認のうえ、必要に応じて事務局である地域団体に手当などの応援要請をする

というのが一連の流れです。

5年ぶりの近況調査

我が家は妻とともに5年ほど前に「支援者」として登録し、2軒の要援護者さんを受け持つことになりました。
登録時には要援護者のご自宅を回り挨拶もしたのですが、その後は特に交流はありませんでした。

そして先日、地域団体から「要援護者の近況を再調査してください」という趣旨のお手紙が来ました。
私たちだけにではなく、支援者全員に送付されたようです。

5年もたてば要援護者の状況は変わっているはず。
以前は歩けていた人も、足腰が弱くなっているかもしれないし。
それを探るための依頼ですが、5年は長すぎる。

要援護者と日ごろからコミュニケーションを取っていれば良かったと気づきました。

ともかく、要援護者のご自宅を訪問しましたがピンポン押しても誰もでません。
留守なのかと思って日時を変えて訪問しても会えない。
こんなことが数週間続きました。全然会えない。

ちょっと心配になりました。
もしかしてこの5年間でこの人の身に何かあったのではという心配もさることながら、そもそも平常時でさえ何回訪問してもコンタクトが取れないのに、災害時に安否を確認できるだろうか。
この仕組みが機能するか。

いつまでも埒が明かないので、忙しい時間帯だと思って今まで遠慮していた夕方を狙って訪問したら、やっとお一人とコンタクトを取る事が出来ました。

心配に相違して、けっこうお元気そうでした。
いままでコンタクト取れなかったのは単にタイミングが悪かったのでしょう。
玄関先で話したのですが、その人の足元に結構大きな木の枝の束が置いてあるのが目に留まりました。
薪(まき)のような。お庭の木を剪定したのかな・・・

せっかく会えたので、質問項目に沿って現在の同居人の有無、歩行可能か、視力聴力に異常がないかをお聞きしましたが、ちょっと気になることが。
話しぶりなどは元気なのですが、話しているうちに認知能力に衰えがあるのではないかと感じました。
具体的なことは書けませんが、やり取りのなかで辻褄の合わないことをおっしゃることが多く・・・また、タオルは貰ったけど誰かに盗られたとのこと。
結局30分程度、その方のお話を聞いてヒアリングは終わりました。
もう1軒の方も、接触までさらに時間はかかりましたが、ご健在で近況を聞く事が出来ました。

上で懸念したとおり、この仕組み災害時に機能するだろうか。
なかなか会えないし。タオル失くしてるし。
そもそもご近所が被災するということは私や家族が被災しているわけで、冷静に動けるのかどうか(この取り組みの大前提として、支援者自身の安全を確保したうえで救助に当たるということになっています)・・・

そんな不安を抱えながら、それでもこういう枠組みはあった方がきっと良いのだろうとは思います。
過去の震災でも、消防隊が駆けつける前の近隣住民による救助活動が命を救うことに繋がったという事例は数多くあるようですから。
大災害の時は行政の機能もマヒする可能性が高く、共助ができる土壌を作っておくのが大事なのは言うまでもありません。

そんなことを考えていたある日のこと。

ゴミステーションに見覚えのある残置物が

ある日の朝、通勤途中に近所のゴミステーション(ゴミ置き場)を見ると・・・。

そこには、見覚えのある「薪」が。

自治体指定のゴミ袋に入れず、裸のままで薪がどんっと置いてありました。
これは、先日要援護者の玄関先で見た薪に間違いありません。

殆どの自治体がそうだと思いますが、クリーンステーションに出すごみは、自治体指定のごみ袋に入っていなければ、収集してもらえないルールです。

したがってこの薪は持って行ってもらえません。
初めて見つけてから1週間程度、薪はそこに置かれたままです。

誰かが片付けてくれるだろう・・・
無意識に私はそう思いました。

いままでも、指定袋に入っていないゴミがクリーンステーションに置かれることはたまにありましたが、数日もすれば撤去されていました。
今度もきっとそうだろう。

でも、さらに数日たっても薪はそのままです。

その時思い出しました。
そういえば、クリーンステーションの近くの一戸建てに住んでいた方が、数か月前にどこか別の場所に引っ越していかれて、その家はいまは更地になっています。
それ以降、クリーンステーションが以前よりも荒れているような気がします。
もしかしたら、その家の人がルール違反のゴミを片付けていてくれたのかもしれない。

あたりまえすぎるけど、ゴミは勝手に消えません。
魔法で勝手にゴミを無くなるわけないですもんね。
どこかの誰かが善意で掃除してくれていただけです。

でも今後は、高齢化とか人口減少とかでそういう世話をしてくれる人も減っていく。

うまく言えませんが、いろいろと不安になりました。
最近新聞では、人口減少などによる企業の人手不足に関する記事をよく目にしますが、人手不足は企業だけでなく地域の担い手も同じ課題を抱えていますよね。
これからはそのような担い手がどんどん少なくなっていくと思います。
私の地域の地域団体の方も、メンバーが10年前とほとんど変わってません。つまり世代交代していない。この方たちが引退した後の地域の活動はどうなるんだろう・・・

薪の話に戻ります。
私は出した本人を知っているので直接注意しようかと思いましたが、先日の会話からすると、理解して行動に移してもらうのが何となく難しそう。

結局その薪は、次の収集日までに私が家の指定ごみ袋に入れておきました。
薪、けっこう重かった。
あのお年寄りがこれをどうやって運んだのか。
ついでにその辺りに散乱していたお菓子の袋も回収して入れておいた。

その日初めて「ゴミは誰かが勝手に片づけてくれるだろう」と思っていた自分が、そのどこかの誰かになった。

そして、薪は翌日には回収されていました。
同じものでも指定ごみなら回収してくれる、ルールに忠実です。
(全然別の話ですが、むかし指定ごみのルールが開始されたときに、今まで通りの黒のポリ袋でゴミ出ししたら収集してもらえず、翌日、そのポリ袋を自治体指定の袋にそのまま入れて出したら持って行ってくれたという話を聞きました。自治体はルールに忠実です。)

最後に

いつも以上にまとまりのない話ですみません。
災害時要援護者にしても、実際に災害が起こってから初めてアプローチしていてはだめで、常日頃からの地域での見守りが必要だと感じました。
地域のごみ出しルールも、皆がルール通りに動いてくれるわけではないので、だれかがボランタリーにお世話をすることが大事です。

担い手はどんどん少なくなるので、これを維持できるのか不安は尽きませんが、不安ばっかり言っても仕方ないので、動ける範囲は自分でやろうかと思います。無理はしませんが・・・。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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