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【超短編小説】 呟き


「寝ている時に、起こして悪い。お前に言いたいことがあって来たんだ」

ある男は語り始めた。

「この町はずいぶん変わっちまった。

俺らが遊んでいた頃の町とは違うみたいだ。

そうやってお前が目を瞑っている間にも、

誰かが決めたことが当たり前かのように言われるようになっちまった。

以前からそうだったのかもしれないがな。

だが、どうも最近はそれだけに留まらなくなってきた。

あろうことか、お前さんが寝ている間に社会の秩序は大きく変わっちまったんだ。

最初はゲームみたいなもんだと思って見ていたんだが、

気付いた時には深刻な話になっていた。

だから、俺がこうして会いに来たっていう訳さ。

不思議だろう。こんな小さい町でも一歩間違えれば火の海と化してしまうんだぜ。

ここら一帯は毎日のように火事になっているんだ。

おかげで火消しに苦労しているんだよ。

そういうのは専門の業者を雇って対処して欲しいぐらいだ。

何だかんだ言ってみんな忙しいんだよ。

人手が足りてないらしい。だから俺に頼んでくるんだ。

こっちも願い事を叶えるのに必死なんだよ。

邪魔して悪かったな。

適当に聞き流しといてくれ。

神様っていう仕事もしんどいもんだ。

また、今度、飯でも行こう」(完)