【超短編小説】 曜日姫(princess of the week )
むかしむかしあるところに、7人のお姫様がいました。
月曜日のお姫様、火曜日のお姫様、水曜日のお姫様、木曜日のお姫様、金曜日のお姫様、土曜日のお姫様。
そして、日曜日のお姫様。
お姫様はそれはそれはとても可愛らしく、大きなお城の中で幸せに暮らしていました。
そんなある日のこと、王様は7人の姫たちを呼び出し、ある頼み事をしたのです。
「最近、こんな噂を耳にした。それは、ここから少しばかり離れた村で悪い村長によって村人がずっと働かされていると聞く。
どうやら曜日という区切りを失くし、村人はひどく疲れていると言う。お前たちはその村に行き、村長を改心させてくれ」と話したのでした。
王様の話を聞いて、7人のお姫様は、さっそく、
その村に行くことにしました。
姫たちが村にたどり着くと、怖い顔をした一人の男が村人に強い口調で命令していました。
「さあ、もっと働くんだ。休んでいる暇はないぞ」
その男こそが、噂に聞く村長に違いなかったのです。
「そこまでよ」と姫たちは言いました。
「何だね、君たちは」
「あなたがしていることは決して許されることではないわ」
そう言うと、お姫様たちは口々に呪文を唱えました。
「月のように闇を照らし、火のように熱く燃え、水のように流れに従い、木のように静かに佇み、金のように光輝き、土のように堂々とし、日のように辺りを照らさん。ウィーク・エンド」と唱えると、
村長に七色の矢が刺さりました。
すると、どういうことでしょう。
攻撃を受けた村長の体には、傷ひとつありません。
それどころか「私が間違っていた。君たちの言うとおりにしよう」と村長は態度を改め、村人たちをずっと働かせるのを辞め、休みを与えることを姫たちに約束しました。
こうして、7人のお姫様は無事にお城へと戻り、王様に村であった出来事を話しました。
この出来事をきっかけに7人のお姫様は「曜日姫」と名付けられ、今でも曜日姫のお話が語り継がれているそうです。(おしまい)