【超短編小説】 アウトプット大学
「今日学んだことを書き出してください。では始めます。よーいスタート」
学生達が一斉に書き始める。
どうしよう、何にも出てこない。
ここは、アウトプット大学。
学生達は毎日一日学んだことを書かなければ、卒業単位がもらえない。
同じ内容は減点対象になる。
ただし、学んだことは最低15文字以上であれば良い。
何だ、何かないか、今日学んだこと。
頭を振り絞るが、今日は4時限目までアパートで寝ていた俺は頭が働いていなかった。
「残り50秒」
時間がない。
「残り30秒」
学食が提供されてからテーブルに着くまでの移動内容については前に書いた。
大学で彼女が出来て別れたことも。
「残り10秒」
俺はペンを走らせた。
「残り5秒、4、3、2、1」
『何も浮かばないと、なんも書けねぇー』
「終了です」
今日も留年は免れた(完)