新緑都市#1
必要があってわざわざ購入したANAの株主優待券。
飛行機に乗る必要がなくなってしまい、すっかり忘れていた。
使用期限は2024年5月31日。
奇跡的にその優待券を思い出した。
夫とどっか行こうということになった。
株主優待券は使える便も席数も限られている。
羽田-札幌便で空席があった。
札幌一泊。
道東は何度か旅行したことがあるが、札幌は初めてだ。
行きたい場所が思い浮かばない。
なんちゅう消極的な旅。
株主優待券を使うためだけの旅だ。
土曜日の羽田は混雑していた。
沖縄行きと新千歳行きのゲートが隣りあっていて、お客様のテンションの違いが顕著だった。
沖縄行く人は動、新千歳行く人は静。
目的がない我らは静の中の静。
まあそうなるわ。
静の列に並んだ。
出発は1時間遅れた。
座席の不具合で整備士さんが出たり入ったりしたが、札幌に着いてからなーんの予定もないので遅れても気楽なもんだ。
新千歳から札幌までJR。
風景は自然豊かで広々としているけど電車は混んでいる。
北海道神宮に行くことにした。
地下鉄南北線と東西線で円山公園に着いた。
円山公園の入り口で北海道神宮の場所を確かめてから、来た道を少し戻ってランチに向かう。
下調べはゼロだ。
それにしてもこの気候はなかなか味わえない。
気持ちがいいな。
ハンバーグの店があったので入る。
迷いなくビールとワイン。
主よ昼のビールの喜びよ。
酒合宿の予感。
円山公園を歩くと、木々の良い香りがする。
暑くなく寒くなく清々しい。
北海道は花がいっぺんに咲くとは聞いていたけど、八重桜にさつきにツツジ、花盛り。
背の高いチューリップもふんわりと咲いている。
どんな木にもプレートが付いていて、名前がわかるのがいい。
お参り前に「判官さま」だ。
六花亭の茶屋の焼き餅「判官さま」
外国人の旅行者があんこ入りの熱々柔らか焼き餅をビヨヨーンと伸ばして食べていて微笑ましい。
開拓判官、島義勇(しまよしたけ)の説明は詳しく読んだが、銅像は見逃した。
お参りをして境内を散策していたら、見覚えのある屋根が見える。
土俵やん!
あの屋根の下は土俵だ。
土俵を見たからといって見合って四股を踏むわけでも手をつくわけでもない。
でも相撲が好きなので見てみたい。
行ってみたけど、ずいぶん手前から立ち入り禁止になっており、土俵下ですら見えない。
肩透かしをくらって屋根の写真だけ撮って花道...参道に戻った。
地下鉄で北海道立近代美術館へ。
そこからは街並みを見たいので、
時計台までバスに乗った。
庭にライラックが咲いている。
花はもちろんのこと、
街中でも札幌の木々は香りがいいと思う。
新緑と空気がそう感じさせるのか。
歩いてホテルへ向かう。
テレビ塔に近いホテル。
夕食は決めてない。
食べたいものがない。
せっかく札幌にいるのに。
テレビ塔まで来た。
ん?
「ピコレ春のワインとグルメフェア」
テレビ塔の下に吸い込まれる我ら。
ワインもビールも日本酒もある。
飲みますかー!
どの店もキャッシュオンリー。
ああ現金がない。
飲めないのー!
主よ我らにめぐみ給え。
電子マネーが使えるサッポロビールの店がひとつだけあった!
感謝。
一生サッポロクラッシックだけ飲んで生きていこう。
小さなステージがあり、どうやらライブもあるみたい。
ボーカルと思われる女性がお知り合いのテーブルをまわって挨拶されている。
運良く目の前のテーブル席が空き、席も確保できた。
玉置浩二「ワインレッドの心」でライブが始まった。
竹内まりや「元気を出して」の後に会場みんなで乾杯。
「お疲れ生でーす!」
あれアサヒビールやんか!
サザンオールスターズ
「パシフィックホテル」で、サザン応援団の我ら崩壊。
歌わずにはいられない。
女性シンガーはススキノの有名なミュージックパブの2代目オーナーで、常連さんがあちこちにいるようだ。
中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」
ハッハーとホッホーは全力で。
男性ボーカルに交代、アンコールは
「Stand by me」みんなで歌った。
ただの通りすがりが楽しんじゃって、本当にありがとうございました。
消極的旅は返上された。
酒合宿は終わらない。
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