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凍える寒さに涙した後に、じんわりあたたかい涙に出会った。私が見た、やさしい世界の話。

冬の北海道。

息子は積もる雪も、ふわふわ舞う雪も
さらさらの雪も、シャリシャリの雪も
全てが初めてで、
すごいねぇ〜 たのしいねぇ〜
きれいだね〜 つめたいね〜
また降ってきたねぇ〜と、
来る日も来る日も雪のことを考えて過ごしました。

楽しくてたまらないけれど、、
積もる雪にブーツを取られて靴下が濡れたり、
足が冷えてかゆくなったり、
ツルツルの氷の道で滑って転んだり。
旭山動物園に行った日は、とてもとても寒い日で、
凍えながら少し泣いていた息子。。
雪の降る街で暮らすことは
楽しいだけではないと知りました。

お友達に会った日、
関西に住む息子が北海道に住むおともだちに、
『みちに、ゆきがたくさんだけど、だいじょうぶだった?』と聞いていて、
おともだちは、これいつもだよ?
というお顔をしていて思わず微笑んでしまった。

『こちらは毎日こんな感じだから、みんな慣れているんだって!すごいよねぇ〜』と声をかけつつ、
雪の大変さを初めて知った息子から出てきたその言葉が、
とても優しくて、かわいくて頭を撫でました。

美味しい?おいしすぎる〜!
と家族3人で食べるごはんも、
手を繋いで 
よいしょ、よいしょと歩いた雪道も。
顔に付く雪が気持ちいねぇ〜と言いながら温まったお風呂の時間も。
たくさんたくさん歩いたことも、
たくさん電車に揺られたことも。
家族の大切な思い出となりました。

最終日も主人はお昼までお仕事だったので
息子とこの旅最後の2人時間を過ごしました。

旅のシメに、シメパフェだ〜!
と思っていたのに
息子はパフェよりクレープがいい!と。
シメクレープを食べました。笑

クレープを食べたら喉が渇いてきて、
飲み物を買ってベンチに座っていると
お隣にお婆さまが座りました。

息子は迷わずお話をはじめた。
(もちろん初対面)

『ねえねえ、おおさかってしってる?
さく、ほっかいどうたのしすぎて
もうすこしでひこうきにのるから
今はさみしいきもち。』

お婆さまは、
『そうなの〜遠いところから来てくれたのね。もう大阪はダウン着なくてもあたたかいのかなあ?もこもこたくさん着てかわいい帽子かぶって来てくれたのね。ありがとう。楽しめたかなあ?』
それから、わたしはこれからゴジラの映画を観るんだと教えてくれました。
サクはゴジラはちょっと怖いけど、ムービーシアターは好きなんだ〜と答えて、
『ムービーのじかんにまにあう?だいじょうぶ?』と。笑
自分から話しかけておいて… 笑

そして、わたしも話しているうちにどんどん心が温かくなって、北海道の思い出や、大阪のこと、息子のこと。気づけばたくさんお話ししました。

すると、お婆さまが、
『いまおはぎを買ったんだけどね、なぜか2パックも買っちゃって。これはあなたたちに渡すためだったんだわ。よかったらもらってくれない?』と、袋からおはぎを一パック取り出して渡してくれて、、

えっ!いいんですいいんです!!と
手を振ったけれど

『わたしは孫も居ないし、親族も少ない。知ってる人でもないのに、サクちゃんがこんな老人に自ら寄って来てくれて、一生懸命におはなししてくれた。大人でも難しいことよ。
今日のサクちゃんとお母さんとのこの時間が、とってもしあわせだったの。受け取ってくれない?なんだか涙がでてきたわ。』と。。

お婆さまの涙と言葉にわたしも涙があふれて。。

まさかこんなことが旅先で起こるとは思っていなかった。
びっくりしたし、うれしかったし、サクってすごいなあ、、という思いと、今起こっていることがとんでもなく幸せで、、涙が流れた。


サクは、サクらしく。いつものサクをしただけ。

だけど、
彼の言動と人柄にわたしはいつも新しい世界をみせてもらう。

わたしができていない事、
わたしが苦手とすることを。
彼は率先して行う。

一歩踏み出せば
こんなに素敵なことが起こるのだということを。
彼は私に魅せてくれているのだと感じる。
彼には頬が緩むようなできごとや、素敵なことがよく起こる。
それは彼が自ら起こしているのだろう。
彼からわたしは多くのことを習う。

彼に感謝をしているし、彼を尊敬している。
かっこいいなあといつも思う。

空港に向かうホームで
主人にさっきあった出来事をお話しながら
3人でおはぎを食べた。

今まで食べたどのおはぎよりも
美味しく感じるのは
十勝のあんこだからか?笑

いや違う。
お婆さまがくれた言葉とやさしい微笑み、
サクが生み出したあのゆるくてほかほかした時間が染み出してくるからだ。

大きなおはぎを口にするたびに
涙が出そうになるのだった。

パパもサクの頭を優しく撫でた


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