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【読書日記】 「学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話」 を読み、マイ・ミュージアムについて考えた

著者の「ちいさな美術館の学芸員」さんは、このアカウントでnoteの記事を書いておられました。たちまちファンになりフォローし、コミュニティ「オトナの美術研究会」でも刺激をいただいていました。
その方が書かれたこの本は、noteの記事の書き振りで、親しみを持ち、どんどん読み進めることができました。


「ちいさな美術館の学芸員」さんのnoteはこちら↓   もりだくさんです。


「はじめに」の最初の一文は
「あなたは普段、美術館に行きますか?」

はい、行きます。
美術館は私の生活の一部といいますか、思考の一部といいますか、
とにかく、なくてはならない存在です。

なぜ、こんなに好きなのだろう。
この本を読みながら、改めて考えてみました。

・だれかが作った、たった一つの作品を見るのが好き
・美術館の空気、雰囲気が好き
・普段の生活から逃れて、独特の世界に浸るのが好き
・作品だけでなく、建物や展示室の作りなどを見るのが好き
・心が綺麗になるような気になるから好き
・感動できる自分に出会えるから好き
・ミュージアムカフェのコーヒーがこの上なく美味しいから好き


そして、この本の中に「マイ・ミュージアム」という言葉を見つけました。少し長いですが、引用します。

 どの展覧会を見に行こうか迷いますね。展覧会の情報は『芸術新潮』や『美術手帖』などの美術系雑誌、またはインターネットの展覧会情報まとめサイトを見れば、たくさん出てきます。その中で自分のアンテナにひっかかった展覧会を見に行けばいいのですが、それを何度か重ねたら意識してほしいのが、自分だけのお気に入り美術館「マイ・ミュージアム」を見つけることです。
 最初は展覧会の企画内容で美術館を選ぶはずですが、そのうち美術館そのものの雰囲気や立地、周辺環境などもろもろ込みで、展覧会を抜きにしてもまた行きたいと思える美術館に出会えるでしょう。たまにふらっと行きたくなる、マイ・ミュージアムがあるって、とても幸せなことだと思います。

P175~
176

これを読み、改めて「私は幸せなんだ〜」と思いました。
私には「かかりつけ美術館」と呼んでいるお気に入りの美術館があります。
車で20分くらいで行ける、時間が空いた週末にはふらっといつでも行ける美術館です。
これがまさに「マイ・ミュージアム」ですね。


そこで、「マイ・ミュージアム」を紹介します。

  • 佐川美術館(滋賀県守山市)

なんといっても建築が素敵。
水庭の中に浮かぶように立てられた建物。
館内では、窓から入る太陽の光と水のさざなみで、その日の天気や時間帯によって美しい光と影の共演が見られます。
「今日は天気が良いから、お昼頃にあの階段に行って共演を見よう」などと予定をたてるのも楽しいです。
アートワークもそれ以外のものも全て「作品」なのです。

常設展示は、彫刻、日本画、茶碗、茶室で、ちょうど良い感じ。
企画展示も、毎回興味をそそるものばかり。
所々にある椅子にゆったり座り、作品をぼ〜っと眺めるのが至福の時です。

企画展示のある時には、時間予約制になります。
しかし、友の会会員は予約が不要で、まさに行きたいと思った時にふらっと立ち寄れる美術館なのです。
もちろん、私は友の会会員です。
素敵づくしのマイ・ミュージアム「佐川美術館」です。


水庭に浮かんでるかのような佐川美術館
時間によって光と影の共演が見られる空間


エントランスまでの回廊は漣を見ながら・・


もうひとつ、どうしてもあげたいマイ・ミュージアムがあります。

  • アーティゾン美術館(東京都)

これは遠方にあるため、いつでも行けるわけではありません。
しかし、東京美術館巡りの旅には、必ず行く美術館です。

所蔵品が名品ぞろいで、常設展示といえどもかなりの充実ぶり。
企画展示では、詳しいパンフレットが豊富で、後日、しっかり読んで余韻に浸ることができます。
また、オリジナルのミュージアムグッズがたくさんあり、どれも欲しくなってしまうくらい。特に、企画展示の時には財布の紐が緩みます。

作品をできるだけよい状態で保ち、できるだけ素に近い状態で観覧者が鑑賞できるような工夫もたくさん施されています。
床の空調やLEDライトの設置など、こだわりがあります。こういった工夫を見るのも楽しいものです。


大階段の石にホライゾンの模様


巨匠がずらり   床は特殊な空調が施されています


私の「マイ・ミュージアム」、お近く編と遠方編の二つを改めて見直してみました。

幸せです。

マイ・ミュージアムがあることが。


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