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【読書日記】 「ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論」を読む

noteクリエーターさんのオススメの本です。ヤマザキマリ、ルネサンス、美術という、好きな3つのキーワードが入った本、読まないわけにはいきません。

第1刷:2015年12月22日
発行元:株式会社 集英社
著者:ヤマザキマリ
内容:大ヒット漫画『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリを、ただ古代ローマと風呂が好きなだけの漫画家だと思ったら大間違い。実は一七歳で単身イタリアに渡り国立美術学校で美術史と油絵を学んだ筋金入りの美術専門家なのだ。そんな彼女が初の美術論のテーマに選んだのは、偏愛する「ルネサンス」。しかしそこは漫画家。あの大巨匠も彼女にかかれば「好色坊主」「筋肉フェチ」「人嫌い」と抱腹絶倒のキャラクターに大変身。正統派の美術論ながら、「変人」をキーワードにルネサンスを楽しく解読する、ヤマザキ流芸術家列伝!(Amazonより)


ヤマザキ流芸術家列伝、炸裂

ルネサンスの三代巨匠はもちろん、多くのルネサンス期の芸術家について書かれています。名があまり知られていない芸術家もいますが、それぞれ独自の「変人ぶり」のエピソードがとにかくおもしろいのです。
それぞれの時代の背景も知ることができ、まさに「ヤマザキ流芸術家列伝」です。

ルネサンス初期の頃は、絵を描く人は「職人」としてみなされ、注文主からの注文を忠実にこなしていくことが大前提でした。
それが、盛期になると、絵が「メディア」として利用され、その役割を果たすうちに芸術家は自意識をもつようになりました。そういった背景があり、自画像が登場したということは非常におもしろいと思いました。


ミケランジェロが自画像を描かなかったのは意外


ヤマザキ流「ルネサンスのススメ」

ヤマザキさんは、ルネサンスについて改めて見直し、日本の歴史や現代に結びつけて考えておられます。これは、ヤマザキさん自身の生き様からのことばであり、「なるほど〜」と思うことがたくさんあり、勉強になりました。

中でも心に残った文を二つ引用します。

これまで「別にいいや」と思っていたこと、考えない方が楽だと思っていたことと向き合い、そこで見つかった「ほつれ」を繕い直すように、自分の頭や手をつかって教養や知識をあらためて活性化してみる。自分の中ですっかり退化していた感覚を再生させるために、硬くこわばっていた殻を脱ぎ捨てる。
 もし、そこから何か新しい芽生えの手応えを感じることができれば、それがあなたにとっての「ルネサンス(再生)」です。

221ページ

なんだか、私の生き方を応援してもらっているようで、嬉しくなりました。

私にとっての「ルネサンス(再生)」を大切にしたい


一度でも何かを綺麗と感じたり、ものごとから知的な刺激を受けて、知識や芸術に対する感受性が花開いてしまえば、人はそれなしでは生きていけなくなる。私はそのことを信じているのです。

206ページ

このことを私は今実感しながら生活しています。芸術などに触れ、心が動かされることがどんどん増えています。こういった感動なしでは、自分ではないような気すらするのです。


この続きは大塚国際美術館で・・・

この本には、たくさんの作品が出てきます。作品の写真が載っているものも載っていないものも本物を見たくなります。
「どんな大きさなのかな」「色はどんなのかな」「どんな額縁に入っているのかな」など知りたいことがたくさんあります。

そこで大塚国際美術館の出番なのです。



原寸大の陶板でさまざまな絵画や壁画が作られており、その数も1000余点。もちろんルネサンス期のものもたくさんあります。

展示作品リストで、本に出てきた画家や作品を探し、チェックし、次回大塚国際美術館へ行く時に見るのです。
「大塚国際美術館 偏愛ルネサンス編」。楽しみで楽しみでたまりません。

大塚国際美術館の図録と展示作品リストでチェック


まさにヤマザキさんが語る「ルネサンス(再生)」です。


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