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本とわたし

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読書日記、本、図書館に関する記事を載せています。
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記事一覧

【読書日記】 「学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話」 を読み、マイ・ミュージアムについて考えた

著者の「ちいさな美術館の学芸員」さんは、このアカウントでnoteの記事を書いておられました。たちまちファンになりフォローし、コミュニティ「オトナの美術研究会」でも刺激をいただいていました。 その方が書かれたこの本は、noteの記事の書き振りで、親しみを持ち、どんどん読み進めることができました。 「ちいさな美術館の学芸員」さんのnoteはこちら↓   もりだくさんです。 「はじめに」の最初の一文は 「あなたは普段、美術館に行きますか?」 はい、行きます。 美術館は私の生活

【読書日記】 「死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅」を読む

図書館の新着図書コーナーで見つけました。 表紙には名画がたくさん、ページをペラペラめくるとカラーのアートワークがぎっしり詰まっていました。半分くらいが対話形式で書かれています。 なんだかワクワクする本だなあ、と思い、借りました。 著者の山上やすおさんは、自称「美術オタク添乗員」。 海外旅行の添乗員をされており、あの美術系YouTubeちゃんねるの「こやぎ先生」なのです。 海外旅行をしながらアートワークに触れ、美術に関する歴史や技術などの情報が得られる、そんな感覚でした。

【読書日記】 「26歳会社員、絵画を買ってみた」を読み、ギャラリーへ行きたくなった

私はアートが好きで、美術館や建築物巡りが最大の趣味の一つです。 ギャラリーには苦い思い出があります。 バブルの頃、「ギャラリー」なるものをよく知らずにふらっと、とあるギャラリーに入りました。 そこで、ギャラリストさんに少々小馬鹿にされた経験があるのです。私があまりにも素朴な質問をしたためか、『あなたは場違いですよ』と言われているような感じを受けました。 単に絵を見たかっただけなのに・・・ それ以来、ギャラリーに足を運ぶことは全くありません。 しかし、この本を読み、ギャラ

【読書日記】 「知的障害と発達障害の子どもたち」を読み、「ゆっくり」について深く考えた

 私が「師」として尊敬している本田秀夫先生(精神科医)の最新の著書です。  本田先生のSNSで、出版の予告があり、すぐにAmazonで予約しました。 家に届くのが楽しみで、届くとすぐに読み始めるくらい、「待ってました!」の内容の著書だったのです。  「知的障害とは」「発達障害とは」について、非常にわかりやすい文章で書かれていました。  私は、障害のある子どもさんの保護者さんとお話しする時に、どのような言葉で説明するとわかりやすいだろうか、と考えることがあります。  この本

【読書日記】 「機嫌のデザイン」を読んでご機嫌になった

タイトルを見て無性に読みたくなりました。 サブタイトルに「まわりに左右されないシンプルな考え方」とあります。 私がめざしているものに似ているようだ、もっとヒントがほしいと思い、読み出しました。 最も印象に残ったことは、著者の秋田道夫さんのお人柄。 優しい方なんだろうな、 穏やかな方なんだろうな、 周囲のひとをひきつける力のある方なんだろうな、 いろいろなことをご存知の方なんだろうな。 言葉の端々に、そのようなことが感じられる文章でした。 今の自分によく響いた言葉をあげま

【読書日記】「弘兼流60歳から、好きに生きてみないか」を読んで、自分の「60歳から」を考える

もうすぐ60歳になります私はあと数ヶ月で60歳になります。 若い頃は「絶対に歳をとりたくない」「60歳なんて絶対いやだ」と思っていました。 そんな私ですが、もうすぐ60歳。 「60歳」というとなんだかおばあさんぽくて嫌だな、とやっぱり考えてしまうのですが、この年齢になってみると、自分ながら「そんなにおばあさんぽくないなあ」と考える今日この頃です。 そんな私にピッタリの本でした。 「60歳から」 「好きに生きてみないか」 いい言葉ですね。 2〜3年前から始まった私の第二ステ

【読書日記】 「コーヒーがないと生きていけない!」 を読む

タイトルを見て、「なんとおおげさな」と思いました。しかし、よく考えてみると、今の私もそうかもしれない、と思ったのが読むきっかけでした。 「コーヒーを飲むだけでなく、もっとコーヒーのことを知りたい」と以前から考えていました。 そして、図書館でコーヒーに関する本を漁った時期がありました。しかし、なんだか難しかったのです。 最初から「専門用語」が出てきて、コーヒーのこと何も知らない私はそこでストップ。 この本は、そんな私でもおもしろくてどんどん読み進めることができました。 この

【新聞記事】 「論の芽 わかりづらいカタカナ語 なぜ使うの」を読む

2024年2月2日(金)の朝日新聞に、社会言語学者の井上逸兵さんのお話が掲載されていました。 「わかりづらいカタカナ語」・・・・普段から私も困っていたことです。わからないカタカナ語はググったり、ウィキペディアで調べたりします。 一度調べてもなかなか記憶に留まらず、同じ言葉を再び調べることもあります。 ほんと、わかりづらい・・・・ 井上さんのお話の中で二つのことが印象に残りました。 一つは次の文です。 初めは、サラッと読み流しましたが、「ん?!」と思い、反芻したところ、

【読書日記】 「すずちゃんののうみそ」を読む

これは絵本です。 副題に「自閉症スペクトラム(ASD)のすずちゃんのママからのてがみ」とあります。 自閉症スペクトラム症のあるすずちゃんは、保育園で障害のない子どもたちと充実した生活を送りました。すずちゃんが卒園する際に、そのお礼としてお母様が「すずちゃんののうみそ」という紙芝居を作成し、それが絵本化されたものです。 絵本の前半は、自閉症スペクトラムの特徴が具体的な姿で描かれています。また、その特徴がなぜ現れるのかについてもわかりやすく書かれています。 「よくぞ、こんなにす

【新聞記事】 学びを語る 「新しい図書館像 出会いと交流 地域動かす場に」を読む

2024年1月31日(水)の朝日新聞の「教育」のページの「学びを語る」のシリーズを読みました。 「みんなの森 ぎふメディアコスモス」総合プロデューサーの吉成信夫さんが記事を書かれていました。 タイトルが私の興味関心とピッタリだったのです。 私は2年前から某市立図書館の図書館協議会の委員をさせていただいています。 そこでは、いつも「図書館利用者をどう増やしていくか」という話題が出ます。 図書館のスタッフさんが、多くのデータを説明され、委員がいろいろな意見を活発に出し合う、非常

【読書日記】 「サイボーグ時代」を読む

分身ロボットOrihimeを開発し、DAWNという分身ロボットカフェを実験的に運用しているオリィ研究所の吉藤オリィさんの著書。彼のスタイルに惹かれています。 初版:2019年2月 発行元:きずな出版 著者:吉藤オリィ 内容:いま、メディアでもっとも注目される「ロボット界の若き鬼才」が初めて語る人間とメカが高度に融合し、リアルとネットの境界線が消える、来るべき未来の全容とは? ガラケーからスマートフォン、そしてウェアラブル端末へ……加速し続けるテクノロジーの発展と、従来の価値

【読書日記】 「絵をみるヒント」を読む

 タイトルに惹かれて読み始めたこの本。  読み進めるうちに、なんとなく親近感が湧いてきました。  そして気づいたのです、著者が、あの無言館を作られた窪島誠一郎さんということを。「どおりで・・・」と納得しました。 初版:2006年12月 発行元:株式会社 白水社 著者:窪島誠一郎 内容:戦没画学生の作品群を展示する「無言館」の館主が、どのように絵を見ればよいかという「絵の前に立つ行為」とその周辺を、深く、わかりやすく、楽しく解説した、入門書を超えた入門書。(Amazonより)

【読書日記】 「子どもと大人のためのミュージアム思考」を読みながら

この夏、東京都美術館へ行き、その取り組みに大きな刺激を受けました。 美術館のある上野公園にはいくつものミュージアムがあり、それらが展開する「Museum Start あいうえの」の取り組みは羨ましい限りです。 その時の記事はこちらです。 今、東京都美術館学芸員アート・コミュニケーション係長の稲庭彩和子さん編著の「子どもと大人のためのミュージアム思考」を読んでいます。 分厚い本で、中身がぎっしりといった感じです。 この中で、特に共感できる記述がありましたので、大切に引用し

新聞投稿 「読書バリアフリー」って? を読む

某朝刊の2023年9月2日(土)の「オピニオン&フォーラム」に、編集部からの記事が掲載されていました。 「読書バリアフリー」って? 困難ある人救う 紙以外の選択肢 という見出しでした。 先日芥川賞を受賞した「ハンチバック」の次の一節が引用されていました。 これら5つの健常性は、わたしにとってはどれも当たり前のようにしていることです。 しかし、これらのうち一つでも欠けると、好きな読書がしづらくなります。場合によっては、読書が全くできなくなるということもあります。 読書が大