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【キャリア】好きなことが見つからないからフリーターをやるという選択

生徒との面談で言われた一言。
返答が難しい。

確かに目標があった方が学力は伸びるし、モチベーションだって維持できる。

要領がよくて、ちょこっと勉強すればまぁまぁの成績を保てるタイプの子だったりすると、「努力した分だけ成果が出た」という成功体験は得られにくい。
だがしかし、そういう状況でも良く頑張っているとは思う。さすがに「勉強やーめた」とはならない。
このご時世、親が大学へ行っていいよ(と言うか寧ろ行ってくれ)という後押しがあれば、できることなら最終学歴は上げておくに越したことはない。
その子も、周りが大学に行くというスタンダードの中に身を置いているから、どうやら大学には行くようだ。

個人的な考えとしては、好きなことややりたいことが高校時代に見つからなくても、大学に入ってから見つかることなんて大いにあるはずだから、焦らなくても良いと思っている。
特に文系なら尚更。

昔はちょっとハードルが高かったかもしれない学科変更も、大学側の条件をクリアして試験に通れば、そんなに珍しいことではない。
さらには、大学の編入だって全然やって良いことだし、大学で学ぶことそのものが自分の人生そのものに不要だと結論づけたなら辞めても良いとさえ思う(その代わり、学費が絡むから親とは要相談)。

今や、副業やダブルワークが普通になりつつある。我々教育公務員だって、いずれは他に仕事を持つような時代が近い将来やって来るかもしれない。
自分の得意・好きを基準に、ピボット的にさまざまな分野を行き来しながら、仕事を通した自分の在り方は固定しないという形態。
アラフォーの私が就職した当時は、こんな時代が来るとは思っていなかった。

だから生徒との面談の際には、自分の考えもアップデートしたり、アンラーンした思考で応対しないといけないとと気も引き締まる。

ただ。
そうは言っても。
大学出た後にやりたいことがなかったらフリーターをするという考えには、何を言ってあげればよいかさすがに戸惑った。

フリーターの定義を記しておく。

フリーアルバイターの略
15〜34歳の若年(ただし、学生と主婦を除く)のうち、パート・アルバイト(派遣等を含む)及び働く意志のある無職の人

平成15年版国民生活白書・内閣府

前向きな理由で敢えてフリーターを選択するということもあるだろう。その場合は、そのひとのその選択を応援したい。
しかしながら、生きていくことを考えれば避けて通れない給料の側面を見てみると。。
まずは、正社員として就職した場合は、

正社員の場合、年齢によって収入が変動するため、年代別で平均年収を算出

20代=約350万円
30代=約460万円
40代=約540万円
60代=約660万円 

60歳まで働いたと仮定して計算
正社員として60歳まで働いた場合の生涯年収は約2億5,000万円。

DYM就職

これはよく聞く話で、高校生もガイダンスなどで早いうちに知る有名な情報。
ただし、昨今は定年が延びている状況を考慮すれば、もう少し生涯年収は大きそう。

一方、フリーターは、


フリーターの平均労働時間は週32時間
(1日6時間勤務を週5日)
この数値で年収を計算→125万円
※正社員に比べると昇給の幅はかなり狭いため、22歳〜60歳の間で勤務したと仮定し計算

フリーターの生涯年収は約6,000万円

DYM就職

改めて数値で見ると、差が歴然。
およそ2億円の差分が生まれる。

やりがいや好きなことを仕事にする喜びを感じながら、確立された給与体系の環境で安定的にお給料を得ることがもちろん一番良いのだけど、
どちらかにウェイトを置かなくてはいけない場合、18歳前後の若者の中には、前者を蔑ろにしてまでお給料を確保したいとは思わない者もいるようだ。
というか、いつの時代もその葛藤と戦いながら仕事の選択をしてきたはずなのだけど。

「正社員こそ一番」というかつてのステレオタイプな思想が土台にあれば、選ばざるを得ない状況下に無条件においやられるわけだから、やりたいことがなくても正社員を目指すというレールに乗るわけで。

「正社員じゃなくても」という考えがマイノリティじゃなくなりつつある時流において、「転職はキャリアシフトの好機」なんていう魔法みたいな言葉が、若者に夢を見させてくれる。

いや、気づかないのだよ。転職して成功するか否かは、その人の持つスペックやこれまでの努力、そして戦略的にキャリアを積んできたか否か、その他、人脈やタイミングや運などのさまざまな条件が複合的に関わっていることを。

「何にもしなくて良いのがベストで、受け身の態度をベースにフリーターとして成功したい。」
って、どういうこと?

やりたいことがないとしても、高校生ならまだ大丈夫。
ただ、社会人になってからも同じことを考えていたらさすがに心配。
それを探すための主体性が自分になければ解は見つからないということに気づかなければ、永遠とそんなものはやってこない。

だから大学4年間があるのだと思うのだけど。
いろいろな体験を通して、自分のアンテナにヒットしたものを集め、その中から光る何かを見つけてくれれば良い。

と、かつての自分への戒めとしても、
これを彼らに言いたい。
今は何言われても分からなくて、実際にその時が来ないと腹落ちしないんだろうな。
私は、仕事選択の幅を勝手に狭め過ぎたことが理由で、他を見るチャンスを得なかった。
後悔している。

氷河期世代には、やむなく非正規雇用となってしまった人たちがいる。
それに比べ、今の若者は「自分」そのものを売ることだってできる世の中に生きている。
さらに生成AIを活用すれば、仕事の幅はとんでもなく広がっていく。

ただ。
繰り返しになるが、
好きなこと、やりたいことを仕事にするには、
待ってるだけではダメなのだ。
向こうからやって来ることは決してない。
成功している人は、得てしてみんな若いうちは仕事の虫ではないだろうか。
そのときには、好きなことであっても、苦しさや辛さから逃れることはできない。
苦労もなしに、甘い蜜は吸えないということ。

なーんていろいろ思いを巡らせていて、令和のZ世代に響く言葉を模索している教師がここにいる。

生徒諸君。
持ち得るカードは多い方が良い。
時が来るまでに、カードを増やしておこう。
その術の1つは、教養である。
いずれ個性を出すには、まずは知識を得ることだよ。
そのためには、反復だよ。
鍛錬が必要なのだよ。

と、養老孟司先生もよく言っておられる。

週も折り返しました。
週末が見えてきています。
頑張りましょう。
私は土曜も漏れなく出勤だけど。

では、また!

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