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#15 映画が上映される工程とお金の流れ🎬💰

今回は、映画の仕事に携わっている者として、実際に映画が作られてから映画館にやってくるまでの過程について、簡単にご紹介していきます。

この仕組みを知ることで皆さんも聞き覚えのある「製作委員会方式」についての理解も深まって行くと思います。



メジャー映画の業界構造〜邦画編〜

 まずは、工程とお金の流れについて話す前に映画業界の背景をザッとご紹介していきます。

映画業界は、製作(作品を企画・製作し、完成フィルムにする)と配給(出来上がったフィルムを複製して各映画館にレンタルするとともに宣伝を行う)、そして興行(映画館での上映)の3部門に分かれています。邦画業界の特徴は、松竹・東宝・東映という大手3社が、この3部門すべてを押さえているところにあります。つまり、この3社が、映画作品をつくりそれを全国の映画館に流すとともに、映画館自体を直営や独占的な配給契約によって系列化して運営しているわけです。このような体制をブロック・ブッキングと呼んでいます。(東宝→TOHO、東映→TOEI、松竹→ピカデリーなど)

しかし、70年代以降、邦画業界が衰退に向かうにつれ、このブロック・ブッキング体制も崩れてきました。初めに崩れたのが製作部門で、当初は自社内の撮影所ですべての映画をつくっていたのが、次第に独立の制作プロダクションに発注するようになり、さらには他社との提携での製作、すでに出来上がった作品の配給の受託などが当たり前になってきています。また、配給の点でも、映画館数が邦画専用館を中心に激減したことにともない、地方を中心に、系列関係がかつてほどはっきりしたものではなくなってきました。

加えて、最近では、ワーナー・マイカルやAMCといった英米系の映画館チェーンの日本進出が業界を震撼させています。これらのチェーンは、邦画に関しても、ブロック・ブッキングを拒否し、独自の判断で上映作品を決定しているからです。邦画業界の構造は大きな変化の過程にあるということになります。

さて、ここからは上記で提示した3部門についてご説明していきたいと思います。
それぞれどのような役割を持っているのでしょうか?

【製作】

映画の企画を立てて作る過程。映像製作プロダクションなどが行います。

KADOKAWA、松竹、円谷プロダクションなどがこれにあたる。現在は製作委員会方式により、共同出資で製作されることが多いです。

【配給】

作られた映画を購入し、宣伝を行います。映画配給会社が担います。

一例としてワーナーブラザーズジャパンが配給部門を設けておこなっています。

【興行】

映画館や映画興行会社が担います。配給会社に映画料を支払い上映します。

ワーナー・マイカル・シネマズ、ユナイテッド・シネマズといった外資系興行会社が現在は主流。

映画は作られて終わりではなく、配給と興行があって初めて私たちのもとに届けらます。

次に上映された後のお金の流れについてご説明していきます。これは単純に、今の工程の逆からお金を持っていく流れになります。

【興行収入】

映画館の入場料の合計。ここからお金が各工程に流れていきます。

【配給収入】

興行収入から映画館や映画配給会社への配分を差し引いた額。ここの配分は40%〜70%と言われていて、はじめに配給会社と興行会社とのブッキングにより契約されています。

【映画料】

映画館や興行会社が配給会社に支払うお金。映画を上映するための権利がここで取引されます。

【配分金】

「トップオフ」とも呼ばれる。配給収入から宣伝費と配給手数料が配給会社へと支払われたその残りが製作者側に渡る。

上から順に見ていくと分かりやすいかと思いますが、映画を作った人たちがお金をもらうのは最後だということです。

つまり、売上次第では、映画を作った人たちへ渡るお金は少なくなるということです。悪ければ赤字ということも大いにあり得る話ですね。

製作委員会方式とは

ここで登場してくるのが「製作委員会方式」です。

共同で出資し、売上が悪かった時のリスクを減らすこの方式が自然と映像制作の主流になっていったということになります。(リスク分散)

アニメーションも例外なくこの流れがここ何年も続いている理由にはこういったものがあるんですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

皆さんにも耳馴染みのある「製作委員会」とは上記の理由で発足しており、映画が作られ、上映されるまでの過程を知ることで、現在の映像製作の現状が見えてきたと思います。

今回も最後までご拝読ありがとうございました!


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