外国人の方が現在の在留資格で許・・・
外国人の方が現在の在留資格で許可されている活動以外で収入・報酬を受ける活動をする場合には、資格外活動の許可を受ける必要があります。
行政書士の間では「格外(かくがい)」などと略して称したりもします。
たとえば、「留学」と云う在留資格。
この資格で許可されている活動は、日本における大学や専門学校などで教育を受ける活動に限られていますから、近くのコンビニエンスストアで見かけるアルバイトの外国人学生の多くは、併せて、資格外活動の許可も受けている方である可能性が高いと云えます(もちろん身分系の資格の方も多くいらっしゃるでしょうが)。
この資格を受けずにアルバイトをしたりすると、留学生当人は、本来の在留資格を取り消され強制退去となったり、後に発覚するとその在留資格の更新ができなくなったりします。
また、雇っていたお店は、不法就労助長罪に問われて、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金のいずれか、あるいは、併科されることもありますので要注意です。
なお、資格外活動の許可を受けていたとしても、休学中にアルバイトをすることはもちろん厳禁です。
さて、こうした資格外許可には、包括許可と個別許可の2種類があります。
この2つの許可の大きな違いは、勤務先や業務内容が指定されているか、されないかにあって、包括許可であれば指定はありません。
いわゆる就労資格の場合、勤務先や業務内容が変わる度に資格変更の手続きをしなければならないものが多いのですが、包括許可を受けている場合には、アルバイト先を変更しても包括的に許可された範囲内であれば、改めて資格外活動許可を受ける必要はないということです。
そして、留学生が、そうした資格外活動の包括許可を受ければ、一週について28時間以内(教育機関の長期休業期間にあっては一日について8時間以内)であれば、アルバイトをすることができるのです(除く、風俗営業等の所定の業務)。
フルに働いた場合、最低賃金(※)に基づき月の報酬額を算定すれば、およそ12万円の稼ぎとなって、留学生にとっては大事な収入源確保のための資格と云えるでしょう。
ちなみに、個別許可による活動には「留学」生が就職活動の一環としてインターンシップなどに従事する場合や、「技術・人文知識・国際業務」の資格を有するIT技術者が外国語学校で教師として働く場合などがあります。
それでは、留学生が、資格外活動を受けるにはどのような手続きを踏む必要があるのでしょうか。
現在、多くの学生は、来日した際に到着空港で入国手続きと同時に申請しているようです(ただし、包括許可の限る)。
もちろん入国後に申請することもできますが、その場合には申請書と必要書類を揃えて、住居地を管轄する地方出入国在留管理署に出向いて申請する必要があって手間暇がかかるため、学校によっては入国時の同時手続きを勧めているようですね。
入国手続きと同時に申請する場合は、至って簡単。
入国の際、審査官に、パスポート、ビザ、在留資格認定証明書、出入国カードに加えて、専用の「資格外活動許可申請書」(「留学生が新規入国する場合」用/第29号の4様式)を添えて申請するだけ。申請書類は、出入国管理庁のHPから入手可能となっています。
なお、いずれの手続きにおいても手数料はかかりません。
令和5年に過去最高を更新したときの在留外国人の数は322万人。そのうち「留学」の資格者は「技術・人文知識・国際業務」の有資格者についで多く、全体の1割のおよそ31万人。
岸田首相は昨年の政府の教育未来創造会議で、2033年までにそうした外国人留学生を40万人受け入れると目標を掲げています。
これから、ますます街角でアルバイトの外国人留学生を見かけることになりそうですね。
追記:留学生の在籍する大学などで一定の契約に基づいて教育や研究の補助活動(TA・RA・チューターなど)を行い、その対価として報酬を受ける場合などには、この許可を得る必要はありませんので、念のため。
※ 東京都の場合1,113円(令和6年7月現在)
以上
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