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プロジェクト・アプローチは、問・・・

 プロジェクト・アプローチは、問題認識の共有から始まります。ここでは、「なぜその問題に取り組むのか」という経営者の意図を確認し合うことは勿論のこと、「その取り組みが社会的に見てどのような意味を持つのか」にまで踏み込んで議論します。全員が、問題に取り組む意義を腹落ちするまで議論し、考え抜くことが大切です。

 次に、問題の課題化の段階です。プロジェクト全体の肝となるフェーズです。問題とはクライアントの抱える解決すべき事象であり、自分たちの望む姿と現状の差異のことです。課題とは、その差異を埋めるための手立てを云います。いわゆる問題解決のためになすべき方策のことです。この段階で実行可能な最善の策を立てることがプロジェクトの成否を決定づけると云っても過言ではないでしょう。

 因みに、優秀なマネージャーは、問題の課題化に長けています。一方で、最悪なマネージャーには問題をがなり立てる人が少なくありません。組織にいれば組織の問題には大概の人が気付いています。課題化が上手くできないからみな悩んでいるのです。

《組織開発のプロセス》

フィフス・アロー・メソッド

 現状把握の段階では、実態をしっかり自分の目で見ることが大切です。そして見たことを文字に落とすこと。これをデータとして議論し、そこに現れ出た事象を可能な限り定量化します。

 望む姿を100だとすれば、現状は30なのか50なのか。現状分析を通して、取るべき行動が浮かび上がり、メンバー間には現状に対する明確な共通認識が醸成されていきます。

 この間に定量化された事象の中から後にKPI(重要業績評価指標)が設定されることにもなります。

 現状を分析してみると、当初の想定とは違い、新たな問題解決の道程が浮かび上がってくることもしばしばです。その場合には躊躇なく課題を見直しましょう。プロジェクトの目的は問題を解決することであって、たとえ考え抜いた課題であったとしても、これを熟すことに本来的な意味はありません。課題はこうして磨き上げられていきます。

 差異を埋めるための行動計画を立てるのが実行計画立案の段階です。計画は、メンバー一人一人に対して具体的に決めます。何のために誰が・何を・いつまでに・どこで・どのように・どれくらいのコスト(5W1H)で実行するのかを、各々の業務の関連性と時間軸を考慮しながら立てます(ガントチャート化)。ここを曖昧にしておくと物事は前に進みませんし、何より経営から実行の承認(評価)を得ることはできないでしょう。

 最後の実行の段階では、みんなで定期的に進捗を確認しあうことが大事です。この確認の枠組み(ルールや方法)はスタートの段階で作っておくことが肝要です。進行が遅れそうになったり、手に負えない事象に突き当たったりした場合には、臆することなく、すぐさま他のメンバーに援助を請うこと。プロジェクトはチームプレイであることを忘れずに。

 なお、プロジェクトを通して上手く事が進まないと思ったら常に問題に立ち戻ること。「自分たちはそもそも何をなそうとしたのか」を思い返せば、自ずと解決策が見えてきます。

 こうした組織開発の手法には、組織を活性化させるとともに人材育成に資する機能があります。ただし、そこには、論理的なプロジェクトのフレームワーク経験豊富なファシリテーターの存在が欠かせません。

(おわり)


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