千葉戦の備忘録-2周目-

前回対戦

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スタメン

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序盤は千葉~がんばろう千葉、災害に負けるな~

    立ち上がりの10分は互いにロングボールを蹴り合う展開。主導権を握るため(⇒ゴール前にボールを送り込んでそのまま押し込もうとすることで主導権を握ろうとする)というよりは、両者ともに前から積極的にプレッシャーをかけようとするのでリスク回避のためという色合いが強かった。前からの積極的なプレッシャーの一例として、千葉がゴールキックから繋ごうとしたときには、岡山の第一ライン(ヨンジェ・中野)がCB(増嶋・新井)を高い位置で監視していた。

    ロングボールの蹴り合いによる落ち着かない10分を過ぎると、徐々に両者が後方からのボール保持⇒前進を試みようとする。岡山、千葉ともにボール保持の中心はCB2枚とCH2枚のボックス。ただ相違点は多い。
    岡山はSB(廣木・増谷)が低めのポジションを取ってサイドの逃げ道を作るのに対して、千葉はSB(下平・米倉)が高い位置で横幅を作る。ボール保持でのSBの役割が違うからか、CHの動きも違ってくる。
    岡山のCH(上田・喜山)が中央をスタートポジションにして、1枚が列を下りる程度の動きなのに対して、千葉のCH(佐藤勇・熊谷)はスタートからかなりポジションを動かしていた。上がったSBのポジションに2枚とも入ることもしばしば。横幅はSBが取っているので、CHのポジションに2列目が下りてボールを受ける形も見られた。

    岡山のボール保持⇒前進が上手くいった形は13:25、①サリー(≒CHが最終ラインに下りる)した喜山→濱田がパスを受ける⇒②濱田が千葉第一ライン脇(喜山がクレーべを釣っていたので、濱田へのケア遅れる)から持ち運ぶドリブル⇒③増嶋の背後を取った中野に縦パスという形。際どくオフサイドになったが、こういう形を続けていきたいところであった。

    しかし最初にボール保持から主導権を握りかけたのは千葉。ビルドアップ段階で動き回るCH(佐藤勇・熊谷)に対して岡山のCH(上田・喜山)も食い付くことが多く、CHの空けたスペースを岡山のSH(仲間・関戸)が絞りきれずに、千葉の2列目が受ける~ターンして前を向く形を作られることの多い20分までの展開であった。
    千葉の攻撃の形で一番脅威になるのが、ビルドアップに成功してそこからサイドに展開してのクロス攻撃。17:02には前述の形から、①増嶋→為田がHSに絞って受ける動き~岡山第二ラインの背後を取る⇒②下平が高い位置を取ってクロス⇒③クレーべが頭で合わせる形で決定機を作られるも、一森のセーブで岡山は難を逃れる。
21:21にも千葉の右サイドで押し込まれる展開から、矢田のクロスにゴール前の為田が合わせる形で決定機を作られる。

流れは徐々に岡山に~非保持⇒トランジション~

    為田にシュートを打たれた22分ごろから、岡山は非保持時の振る舞いから流れを変えるための修正に打って出る。簡単に言えば、「CHは中央から動くな」である。佐藤勇や熊谷がサイドに流れても、サリーしてきても基本は無視。第二ラインの4枚で中央~ハーフスペースを閉じる基本に立ち返ることで、岡山は守備の落ち着きを取り戻す。
    岡山のこの修正により千葉は2列目から下りてくる工藤や為田が捕まるようになると、後方からのロングボールが増えてくるようになる。ヨンジェと中野が千葉のCH(佐藤勇・熊谷)に対して中にパスを入れられないように(≒サイドに逃がすor下げさせる)コースを切る動きができていたこともあって、繋ぐコースが徐々に制限されて蹴り出すしかなくなる、と言った方が適切かもしれない。工藤や佐藤勇のようなユースからのベテランが動き回るのはエモーショナルかもしれないが、なかなか効果的でなかったのが実状であった。
    千葉のロングボールの行き先は、大外かクレーべ。前者は千葉の攻撃手段がクロス(しかない)というのが分かっていれば、ボールサイドへのスライドで十分間に合う(⇒千葉が中央を動かせていないので)。後者のクレーべに関しては、濱田と田中のCBユニットがほとんど自由を与えていなかった。

    こうして、千葉発信による攻撃からの失点リスクをかなり減少させることに成功した岡山。次は自分たちの攻撃がフォーカスされることになるが、序盤にやろうとしていたCBCHのボックスからのボール保持はほとんど鳴りを潜めていた。千葉の非保持は工藤のチェイスをトリガーに前からのプレッシャーを積極的にかけていく守備が基本型。CH(上田・喜山)へのマークが強く、またゾーン2(特に中央~ハーフスペース)に入る仲間や中野へのボールをかなり警戒していたので、岡山も無理はせず最終ラインやサイドの低い位置からのロングボールでヨンジェや中野を走らせる形をメインにしていた。

    千葉はロングボールからのトランジション(=ネガトラ)に問題を抱えているようで、反応が遅れて岡山にセカンドボールを拾われたりスペースを与えたりしがちであった。そのため、前半の岡山のチャンスはトランジションから縦に速く攻め切る形からが多かった。
    トランジションからの攻撃で機能していたのが仲間と中野。仲間はセカンドボールを回収してからのドリブルで、中野は素早くスペースを突く動きからチャンスを作っていた。しかし、トランジションから2度あった中野の決定機はいずれも枠外。スコアレスで前半を折り返す。

流れはほぼ岡山に~保持編~

    ゴールキックやスローなど、GKがビルドアップに参加する場面での振る舞いの変化は、チームの振る舞いそのものの変化を見逃さない点で重要である。後半になって一森はCBに繋ぐプレーを増やすようになる。前半はパントやロングキックで前線に蹴ることがほとんどだったので大きな変化。GKの変化とともに、後半になっての岡山は後方からのボール保持傾向を強めていくようになる。

    フィールドプレーヤーたちの前半との大きな変化は、①CH(上田・喜山)のボールタッチが増えた点、②ボール奪取・セカンドボール回収後、背後を狙った縦へのボール一本ではなく、一度落ち着かせようとするプレーが増えたという2点。岡山はCH・CBのスクエアを中心に、SBの横幅を使いながら後方からのボール保持の傾向を高めたことで、千葉のCH(佐藤勇・熊谷)が前に食い付くようになり、千葉の第二ラインを引き出してその背後で前線やSH(主に仲間)が受け、そこからゴール前に迫る形を作れるようになっていった。

    ヨンジェ・仲間の岡山の攻撃二大看板は、上田の縦パスやSBの斜めのパスを受けてからのポストプレーやキープで味方の攻め上がりをアシスト。55:40はヨンジェのポストから仲間⇒千葉最終ラインの背後に抜け出した関戸へロブ~シュートまでの形。また56:05には、上田⇒ヨンジェフリック⇒中野の裏抜けという形を作るがこれはオフサイド。
5:02のチームの最初のシュート以降、前半はあまり目立っていなかった関戸も、運動量を活かしてゴール前に飛び出す形を増やせるようになっていった。

    一方後半になっての千葉のボール保持だが、前半と大きくは変わらず。そのため岡山は、前半通りの形で守ることができていた。工藤以外は中央を動かす(≒岡山第二ラインを動かす)工夫に乏しく、岡山としてはサイドに展開されるボールに対して主にSB(廣木・増谷)が対応できていれば問題ない状態であり、事実ほとんど対応できていた。中盤の運動量が落ちてきた千葉は67分に佐藤勇→鳥海、一方でさらにゴール前の圧力を高めていきたい岡山は70分に中野→赤嶺とそれぞれ最初のカードを切る。

あれ、流れが…~交代策失敗?~

    赤嶺投入の少し前くらいからか、千葉の非保持時は前からプレッシャーに行かなくなるようになる。最終ラインの4枚をほぼペナ幅に固定、第二ラインの4枚もできるだけペナ幅で守る形になっていた。ライン間を使われないようにする、そしてサイドは捨てて中に入るクロス勝負。ある程度勝ち点1でも上出来だ、という割り切りを見せるようになる千葉。

    そんな千葉に対して岡山は、廣木・増谷のポジションを上げて大外への展開⇒そこからのクロスorカットインを増やしていく。展開するのが主に左利きの上田と喜山であったこともあって、特に廣木のサイドからどんどんクロスが上がっていくようになる。76:50には前から奪いに来ない千葉に対して田中の運ぶドリブル⇒廣木への展開~クロス⇒関戸が詰める形もクロスバーに阻まれる。

    岡山は82分に関戸→福元。ゴール前の人数を更に増やしていく交代策。千葉は80分に矢田→船山、さらに87分為田→エベルトで5バックに変更。とことんゴール前で守り倒す千葉に対してさらにゴール前への放り込みを敢行する岡山だったが、逆にトランジションから千葉に攻め込まれる機会を与えるように。88:20には、船山⇒工藤が抜け出して一森との1対1という絶体絶命のシーンがあったが、一森がビッグセーブで凌ぐ。


    岡山も終了間際にセットプレーのこぼれ球、そしてロングカウンターから仲間がシュートを放つが、どちらも佐藤優の正面に。試合はスコアレスドローで終了。

雑感

・最後は割り切って中央を固めたことで勝ち点1を持ち帰った千葉。工藤の1対1が決まっていれば勝ち点3まで持っていけたので、内容はともかくアウェーでの試合展開としてはかなり上出来だったのかもしれない。

・中央を使わないのか、使えないのかは分からないが、攻撃の形がサイドからのクロス一辺倒だったのは岡山にとってはかなり守りやすかったと思う。クレーべがいくら強いからといって限度はある。クロスならクロスで良いが、それならもう少しスムーズに展開する形が欲しいところだろう。

・70分以降の赤嶺、福元の投入で逆に使えるスペースが潰れてしまい、結局空いているサイドからのクロス一辺倒になってしまったのは千葉と同じだった岡山。千葉のことをどうこう言っている場合じゃなかった。60分前後までの形ならともかく、終盤のハイクロスによる放り込みは千葉も守りやすかっただろう。個人的には三村を入れて仕掛けさせるのもアリだったのではないかと思う。

・主導権を握られかけた序盤の20分から、まずは非保持時の修正でリズムを作り、ボール奪取⇒トランジション攻撃の流れができるようになったら徐々にボール保持に持っていく70分前後までのゲームの運び方自体はそこまで悪くなかったと思う。ただ決定機自体はそれほど作れていなかったので、十分勝てる内容ではあったが、勝たないといけないゲームだったというほどではなかったのかな、というのが率直な感想。

・シュートまで持っていけばそれでOKみたいな「シュートで終われ」論は大嫌いだが、最後の仲間のプレー(⇒一人でドリブルで持っていってそのままシュート)は、ああいうプレーができる選手がウチにいるんだなと、決まらなかった残念さの中にも確かな嬉しさもあったシーンでした。ああいったプレー選択ができる選手がいないと、この先勝ち切れないと思うので。


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