ファジアーノ岡山2020シーズン展望~継続と進化のチェックポイント~

2020年のJ2リーグの開幕までもう1週間を切りました。今季は、昨季の柏レイソルのような圧倒的な昇格候補がいない中、J1参入プレーオフという『昇格できなければオフシーズンの準備に出遅れるだけになってしまい』『しかもその昇格条件がかなり厳しい』罰ゲームを回避するべく、数多くのチームが自動昇格枠の2枠を争いに行く、大荒れに荒れた今季のストーブリーグ同様に近年稀に見る大乱世になることが予想されます。

J2の22チーム中おそらく半数以上がJ1昇格を大目標に挙げる中で、我が贔屓のファジアーノ岡山の大目標も「J1昇格」を挙げています。では実際問題、今季の岡山は昇格を勝ち取れるのかどうか。今回の記事では、2020シーズンの岡山を、有馬監督がテーマとして掲げているキーワードである「継続と進化」という観点から、いくつかのチェックポイントに分けて展望していきたいと思います。

今季の編成については下の記事をご覧ください。

Check1:442プレス守備の強度

 有馬サッカーの一丁目一番地である、442で3ラインを構築してから、高い位置で第一ラインから相手のボール保持を妨害しに行くプレス守備。この強度を昨季以上に高めることができるかは、今季の岡山の行く末を大きく左右することになると思われる。

 基本はFW2枚で構成される2枚の第一ラインから、自分たちの背後のパスコースをチェックしつつ(≒カバーシャドー)前に行く昨季の形を踏襲することになるだろう。なお442の守り方がチーム全体である程度確立された状態でスタートできる今季は、昨季の中盤戦以降にできるようになっていた、相手最終ラインの枚数に合わせてSHやCHが列を上げる形をシーズンスタートからできるのではないかと推測する。

 このように第一ラインから相手のボール保持を妨害、パスコースを限定したところで、できるだけ高い位置でボールを奪いショートカウンターに持ち込みたい岡山にとって、ここでキーパーソンになりそうなのが、今季新加入のパウリーニョ。ミドルゾーンでボールを取り切る能力に長けたCHが上手く第一ラインからのプレスを先導し、自ら刈り取る形をどこまで作ることができるだろうか。

 相手のボール保持が想定以上にハマらなかったり、相手がシンプルに縦に蹴ってきたりすることで第一ラインからのプレスが上手く行かない場合は、チーム全体で442のブロックを組んで自陣での守備に移行することになるが、ブロック形成のスピード、ブロックの強度も昨季よりどこまで高めることができるかも重要なポイントになる。後ろが軽くては、前も勢いや確信を持って相手に襲いかかることはできない。

Check2:自陣でのボール保持⇒敵陣への前進バリエーション

 有馬監督は昨季の課題の一つとして、「自陣からのビルドアップの精度向上」を挙げていた。マイボールを簡単に捨ててしまえば、チーム全体のコンパクトを保つことができず、ズルズル自陣に下がりかねない。できるだけ高い位置で守備を行いたいとするチームのコンセプトを考えると、チーム全体のポジショニングを高くする必要があり、そのためには自陣でのボール保持から敵陣に入っていく精度を高め、バリエーションを持たせていく必要がある。

 そんなボール保持時の課題に取り組むべく、プレシーズンではGKが高いポジションを取って、CB2枚とビルドアップの始点になろうとする形を試しているようである。足元の技術に長けた新加入のポープウィリアムはその面で金山よりアドバンテージはありそうである。

 今季のボール保持の形として、個人的にはSB1枚が大外の高いポジションを取る片上げの形を取り、もう1枚のSBがCB2枚と最終ラインに入る形がメインになるのではないかと予想。CH、特に上田が最終ラインに下りる形はできる限り避けたいのではないかなと思われる。後方からの厚みのある攻撃をするため、そして上田の縦パス、白井の運動量、パウリーニョのミドルを生かすためにも、なるべくCHを高いポジションに留めておきたいのではないだろうか。

 自陣でのボール保持の精度向上の最大の理由は、イヨンジェや山本など、相手最終ラインの背後を取る動きができるFW陣への素早い展開を生かしたいため。ボールを繋げずに単純な前線を走らせるだけの展開でもダメだし、逆に相手の守備ブロックを動かせずに短いパスを繋ぐだけの展開でも上手く行かない。相手のスペースを作り、そこを突く形で得点機会を昨季以上に増やせるかどうかは、長短のボールの使い分けがどこまでできるようになるかにかかってくるだろう。

Check3:新しいSHの組み合わせと機能性

 昨季は左SHの仲間が第3のFW的な役割を与えられ、右SHの関戸がバランサーとして第3のCH的な役割を果たすことで機能していた左右のSHだが、仲間の移籍、関戸の長期離脱によって新しい組み合わせ方、機能性になるのではないかと予想。

 昨季、個人で15得点以上を挙げた選手が2人(イヨンジェと仲間)いたにもかかわらず、チーム全体の得点数はリーグで下から数えた方が早かったのには、右サイドの攻撃の迫力不足が大きな要因として上がった。この課題を解消するために、右SHもボール保持時に高いポジションを取り、攻撃に関わる頻度を高めていくのではと思われる

 ボールサイドのSHがハーフレーン付近で中央に絞り気味のポジションを取り、SBが大外のポジションを取って、この2枚のコンビネーションを中心に敵陣深くに侵攻し、逆サイドのSHがFWとともにゴール前に入ることで、ペナ内の厚みを持たせる攻撃ができるようになる。そしてそれを両サイド発信で行えるようになることが今季の岡山の理想型になるのではないだろうか。

 個人的な理想は、昨季の水戸で見られた木村-志知の左サイドのコンビネーションからの攻撃。SHの上門や三村がハーフレーン付近でボールを受けて、SBの徳元や増谷がサイドを上がる。SBに注意が行けばSHが自らゴールに迫り、SHに引き付けられればSBに展開してのクロスで相手のゴールを襲う形を作れるようになれればと思う。

 ここまでボール保持時のことばかりを書いてきたが、442におけるSHの守備の役割が非常に重要なのは言うまでもない。第二ラインにステイしてCHの間を割られないようにするポジションを取り続けられるかはもちろんのこと、FWに加勢し第一ラインからのプレスに行く役割も求められる。これまであまりボール非保持のことを言われて来なかったであろう上門や、昨季SHの守備面で不安を残した三村がどこまでSHの守備をこなせるか。

Check4:減らせ怪我人

 昨季あまりに多かった主力メンバーの負傷離脱。それによって顕著になった「主力メンバーとその他のメンバー間の格差」について、有馬監督は「チーム全体の競争の活性化」を今季の大きなテーマの一つに挙げているが、ベースラインを高く保つ競争を行うためにも、主力メンバーの負傷離脱をできるだけ減らすメディカル的な施策を打っていきたいところである。

 ところであるが、昨季の負傷の流れで長期離脱が2名、キャンプに入ってからも実戦に入れないメンバーが複数と、現状では有効な施策を打てているとは言いがたい。選手個々の意識もあるだろうし、チーム全体のアフターケアの問題もあるだろうが、五輪による過密日程が襲う今季、本格的なシーズンスタートからどのようにメディカル面での変化が見られるか。地味に注目しておきたいポイントである。

Check5:スタジアムで熱を起こし、その熱を外に広げることができるか

 普段滅多にオフザピッチの話はしないのだが、今回は少ししてみようと思う。今季はプレシーズンから、報道や宣伝から「J1昇格、そして次の10年のために、ファジアーノ岡山に対する岡山県全体の機運を高めていきたい」意図が強く伝わる。キックオフイベントでの北川社長の、「ホーム開幕戦1万人宣言」はその最たるものだろう。

 クラブに対する機運を全体で高めるためには、スタジアムで「ファジアーノ岡山って魅力的だぞ」「もっと観に来いよ」というようなポジティブな熱を起こし、その熱を外に、遠くに巻き起こすことができるかどうかに尽きる。

 サッカーの内容や結果は直接的に観客の入りに影響することはないだろうが、スタジアムで見ている人に、DAZNで見ている人にそのポジティブな熱を産み出すことはできる。有馬監督以下チームがその熱を起こし、その熱を受けた人たちが直接誘ったりSNSに書いたりすることでその熱を外に広げる。クラブは、その熱を受けてスタジアムに行こうかなと揺れている人たちに熱を冷まさせないようにスタジアムイベントや様々な施策を打ってスタジアムに呼び込む。その繰り返しによって岡山全体に機運を高めることができるのだと思う。

 J1昇格とその先に見える大目標を達成するためにも、クラブ、チーム、そしてサポーターを中心にした外部の人たちの三位一体は欠かせない。大口スポンサーのないチームなのだから尚更である。そしてその熱が、もしかしたら大口スポンサーを引っ張ってくる引力に繋がるかもしれない。

現状のメンバー序列

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 実戦出場できていないメンバーを除いて、現状はこのような序列だろう。各ポジションの1番上がそのまま開幕のスタメンになるのではないだろうかと予想。前述の通り、右SHの三村が開幕段階ではあるがどこまで機能するかは興味深いところである。

2020シーズンこうなってくれれば良いな、な展開

①岡山見事にスタートダッシュに成功、シーズン序盤から上位4位以内キープ。同じくスタートダッシュに成功した大宮、磐田辺りとの上位争い。

②夏場あたりから徳島、千葉が首位をうかがう勢いで猛追。残り10試合で上位8~10チーム辺りが自動昇格圏を射程に捉える大混戦。そんな中岡山はどうにかPO圏内に留まる。

③真価が問われるラスト5試合、プレシーズンから有馬監督が訴えてきたチーム内競争の甲斐があってか、失速することなくラストスパート。最終節アウェー山形戦で勝利し、逆転で自動昇格圏滑り込みに成功!

昇格の大目標を達成するには開幕スタートダッシュは必須だと思う。中盤でバテが来ても常にPO圏内(6位以内)、自動昇格圏との勝ち点差は最大でも5に留めておいて何とか最終盤まで足を残しておきたいところである。

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百合は癒し
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