千葉戦の備忘録

スタメン

上田は10分で武田将と負傷交代。軽傷であることを願うばかり。(その後公式発表で全治6~8週間と。長い・・・)

前半

 ハイラインの人が監督を解任されてからの千葉は、一時期J2を席巻した3421が基本システム。試合運びとしても、立ち上がりは前線の2+1が高い位置でプレスに行って、落ち着いてからは工藤と茶島が第二ラインまで落ちて541のブロックを引いて守るという、これぞ由緒正しきJ2らしさが漂うものであった。再建手順としてはとてもまとも。ただなんというか、本当に千葉らしくない。

 岡山が442、千葉が3421ということで自然と起こるシステム上のミスマッチ。千葉は特にフリーになりやすい大外のWBを起点に攻めていこうとする意図を見せた。佐藤優也や増嶋からのロングボールでもターゲットはWB。特に左WBの乾は、マークに行く右SBの廣木との高さのミスマッチもあったので積極的にターゲットとなっていた。

 前述のミスマッチと前からの積極的な守備で、立ち上がりは千葉が優勢。WBを起点にして、そこからCHとシャドーを絡めて崩していきたいんだろうな、というシーンがいくつか見られた。ただ、狙い通りに絡んだシーンはほとんどなかった。前半開始早々の乾がヘッドで落としたところに工藤が入り込んで突破を仕掛けたシーンくらいか。

 一方の岡山。立ち上がりの劣勢が落ち着いた矢先に、上田が負傷交代というアクシデント。大黒柱の負傷交代で正直バタつくのでは、という懸念があったが、代わりに入った武田将はすんなり試合に入れており、チームも落ち着いて試合を進めていく。

 岡山はセットする時は442で守りつつ、千葉の3バックビルドアップに当たる時はSHを2トップと同じ高さに上げて噛み合わせてプレスに行く。立ち上がりこそ乾の場所から起点を作られてスピードアップされる場面が見られたが、それ以降は、岡山の規制が間に合わずサイドに展開されるというよりは、中を閉じてサイドに誘導するように守ることが出来ていた。CHの武田将と関戸がしっかりとスライドを行い、それに合わせて全体のブロックを縦横共にコンパクトに保つことが出来ていた。千葉のWBのトラップの向きに問題があったこと(ゴール方面とは逆の向きに止めるため岡山のSBが詰めやすい)、配球のできる田坂の負傷交代というのも大きかった。

 20分を過ぎると、千葉が541でセットする時間が長くなり、岡山が後ろでボールを落ち着ける時間ができるようになる。岡山はまずは田中やジョンウォンから、ダイレクトにヨンジェやレオをターゲットにしたロングボールからの起点を狙うが、増嶋を中心とした千葉のCB3枚は堅く、クリーンに潰されてしまうシーンが目立つ。

 次に岡山は、千葉の541ブロックの守備上問題になりやすい、1トップ脇のスペースを始点にボールを運んで行こうとする。左サイドはSBの喜山が、右サイドからはCHの関戸が落ちる形を見せてそこを利用しようとする。特に前半は左サイドから進めていこうとする形が多かった。しかし前半は千葉の541ブロックの外でボールを動かす形に終始。中に絞る仲間や久保田が効果的に絡む場面がほとんどないまま前半はスコアレスで折り返す。

後半

 早い時間帯で千葉の3バックでのビルドアップに対して、ヨンジェとレオと仲間がプレスをかける形からレオのシュートという形の見られた岡山(下動画2:30辺りから)。立ち上がりに狙いとする高い位置からの守備ができたことで、後半は岡山がボールの主導権を握って攻める形を作り、千葉がそれを受けてカウンターを狙うという構図となる。

 後半も541でセットする千葉に対して、岡山は前半同様1トップ脇を始点にボールを動かしていくのだが、後半は仲間や久保田が列を降りる動きを増やして千葉のブロックを動かしにかかる回数が増えた。具体的にはSHが落ちる→WBを釣り出そうとすることで、そのWBの裏をヨンジェやレオが狙うという形。また同じサイドで縦に運ぶだけでなく、一度CHやCBに戻して横に展開する回数を増やしてブロックを広げようとする意図もうかがえた。

 岡山は前述の形ができたことで、後方でのビルドアップを進めながら前線にボールを入れて起点化を狙う。仲間や久保田が前を向いてプレーできる回数が増えたので、前線にボールが入る形ができてそこから密集を作ってのネガトラを強めての即時奪回、もしくは個人の打開によって攻撃をスピードアップさせてゴール前まで持っていきたいところなのだが、この試合ではその肝心の前線での起点化をことごとく千葉のCBに潰されてしまっていた。ラインを低めに設定していたので、スピード不足を補うことができてフィジカルの強さを前面に出せる。特に増嶋の対人プレーは素晴らしく、今までの試合だったらヨンジェが裏に抜け出せていたようなシチュエーションでも簡単に体を入れてヨンジェにプレーさせないような守備を連発していた。

 岡山が自分たちのポジションを動かし、ボールを大きく動かして攻めに出始めたことでゲームが動き始める。スペースが生まれやすくなり、千葉もそこから反撃を試みる。何度か見られた岡山のビルドアップ時のミスと、ヨンジェやレオに入ろうとするボールを千葉のCBがクリーンに潰してからのカウンターでゴール前にボールを入れる形も見られるようになっていった。しかし全体のラインが低く、カウンターに行けるチャンスでも人数をかけられない千葉。孤立しては佐藤寿人も活きない。

 終盤に差し掛かって岡山は三村と武田拓を入れてドリブルでの打開を狙い、千葉は為田を入れて前線の推進力を高めに行く。岡山は全体の疲労とハーフスペースで受けられる久保田の交代もあって、コンパクトを保ち続ける千葉の5バックとCHのブロックの密集に突っ込んでは潰されてしまう単調な攻撃が目立つように。一方で千葉もカウンターのチャンスになるところでのイージーなパスミスが散見、ポジトラでの出遅れも目立った。最終的に千葉のシュートは後半0本だった。

 ATに入って岡山は右サイドから三村のカットインでペナに入る形を作るも、最後まで決定機らしい決定機を作ることはできずにスコアレスで試合を終えた。

雑感

・上田に代わって入った武田将に成長が見られたことが最大の収穫。常に首を振って情報収集をして、攻守に良いポジショニングをしようとする姿勢がとても良い。

・金山のアクシデントによる先発(と推測される)という難しい状況だっただろうと思うが、一森は非常にらしいプレーを見せていた。ピンチ自体少なかったが、ゴール前でのアグレッシブなアタックと、狙いを持ったロングボール(つながる機会がなかったのが残念)。

・プレスバックやブロックに入っての守備面での献身的なプレーが目立つだけに、そろそろレオに得点という結果が欲しいところ。

・終盤の失点癖にひとまずの歯止めがかかったことは一安心。リード時にどうなるかというところはまだ不透明だが。

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