2019年ファジアーノ岡山振り返り企画~有馬賢二体制1年目によせて~

まずは懺悔から・・・

 約1年前、2018年12月11日に有馬賢二氏のファジアーノ岡山の監督就任が公式で発表されました。有馬氏の指導者キャリアの中でJリーグ監督としての経験が少なかったこと(⇒2014年・2015年のY.S.C.C横浜監督のみ)、その少ないキャリアでの成績がいずれも最下位であったことから(⇒戦力的な問題が大きかったとはいえ)、当時はこの人事に対して相当懐疑的であったことを覚えています。

 約1年後、2019年11月25日、有馬監督の来季続投が正式に発表された時の感想がこちら。

 たった1年でこの変わりようです。我がことながら、手のひら返し、節操の無さがすさまじいですね。「有馬賢二監督、すみませんでした」と、心の底から叫びたい思いです。

2019年の成績

 有馬体制1年目を振り替えるにあたって、まずは成績の方を振り返ってみましょう。

2019 J2リーグ 9位 勝ち点65 18勝11分13敗
得点49 失点47
2019天皇杯 3回戦

 リーグ戦の順位は9位でしたが、勝ち点65と過去最高タイの勝ち点をマークしました。また18勝というのは、過去最高の勝利数でした。それだけでなく、J2昇格後はクラブ史上初となる公式戦5連勝とリーグ戦4連勝を達成しました。それ以外にも、公式戦でフクダ電子アリーナ(ジェフ千葉のホームですね)での初勝利(⇒天皇杯2回戦)であったり、山梨中銀スタジアム(甲府のホームですね)に改名されてから初めてのアウェー甲府戦での勝利であったり、成績面でいくつもの記録更新を成し遂げた有馬体制1年目でありました。最後にプレーオフ進出⇒昇格という記録更新ができれば一番良かったのですが…

次は有馬体制1年目のファジアーノ岡山で良かった点と改善点を個人的に振り返っていきます。ここからが本題です。

良かった点について

①:攻守一連の戦い方に取り組み、ある程度確立することができた点

    有馬監督は4-4-2システムを導入して第一ラインからのプレッシングを強調、3ラインの距離を縦横ともにコンパクトに、できるだけ高い位置でボールを奪うことを守備の第一目的に設定し、「攻撃のための守備」をチームに強く意識付けさせようとしました。

    そういった守備をするために、ボールを前進させる形でも最終ラインから簡単に前線にロングボールを放り込むのではなく(⇒前線と最終ラインの距離が空いてしまい、コンパクトにプレッシャーをかけられなくなるため)、CBとCHを中心にポゼッションを確立させてボールを前進させるようにしていました。CBが簡単に蹴るのではなく、GKまで下げてもう一度GKからのパスを受けようとする動きが今季は良く見られるようになりました。

    一連の狙いはボールを失った後のトランジション(=攻→守の切り替え)を速くすることによる相手からの即時奪回、それができなくても相手にボールを前進させずに4-4-2の陣形を組み直せるようにするところにあります。これによって昨季よりも高い位置でボールを回収できるようになり、イヨンジェ(以下ヨンジェ)や仲間の推進力を活かしてゴールに迫る形を多く作れるようになりました。下2つのゴールは高い位置で奪ってのカウンターの良い例です。

    岡山は2009シーズン以来、「ハードワーク」「全員守備・全員攻撃」が金科玉条となっているところがあります。選手の組み合わせによるプレスのバラつきやボール保持⇒前進の精度などの改善すべき点はまだまだあれど、夏場を差し掛かったころにはチーム全体で「得点から逆算した攻守一連のコンセプト」をある程度共有して試合を進められるようになっていました。天皇杯3回戦、雨の中での川崎戦のリザーブメンバーたちの奮闘はその象徴だったと言えます。

②:出場機会を得た選手たちのシーズン通しての成長が多く見られた点

    ヨンジェと仲間の大ブレイクに代表されるように、大きく成長した選手、そして市場価値を高めた選手が多く生まれたシーズンとなりました。今からヨンジェと仲間の引き抜きが怖いです…

    ペナ内でのプレー機会が昨季と比べても大きく増加したヨンジェは、一度スペースを空けておいてそこから相手の前に素早く入り込めるようになったことで、自己最多を大きく更新する18ゴールを挙げました。

    ヨンジェとともに今季の岡山の攻撃の2大看板の一人であった仲間は、相手に正対して仕掛けるドリブルと味方に時間とスペースを与えるキープを使い分けることができるように。また相手の背後のスペースを取る動きも向上したことで、ヨンジェ同様に自己最多を大きく更新する15ゴールを挙げました。

    GKの一森は後方からのボール保持が重要視されるようになったことで、高いキック精度を効果的に使えるように。仲間を左サイドに張らせての展開であったり、素早いパントキックであったりで攻撃の起点になるシーンも多く見られました。

    狙いのハッキリしたコンセプトの下でプレーすることによって、それぞれの役割で求められることがハッキリします。これによって、上に書いた選手たち以外でも、新たなポジションで新境地を開いた喜山や関戸など、長い時間試合に出ていた選手たちのシーズンを通しての成長が見られ、「こんなことができるようになったの?」と驚く場面も多くありました。

改善点

①:シーズン通して負傷者が絶えなかった点

    春先の上田の負傷離脱に始まり、ヨンジェの相棒としても期待された斎藤の長期離脱レオミネイロの離脱、シーズン終盤に入る頃には、山本の一時離脱から濱田、中野田中と連続しての負傷離脱と、特に主軸にあたる選手たちの負傷離脱が絶えないシーズンでもありました。

    相手と接触しての接触系の負傷ではなく、ほとんどが筋肉であったり膝であったりの非接触系の負傷であったため、離脱期間の長い負傷が多かったように思います。特にシーズン終盤、やっと選手の組み合わせのベストアンサーを見つけたところで離脱者が多発したのは痛恨でした。これだけ負傷者が多かった中で、ヨンジェと仲間が長期離脱しなかったのはある意味奇跡だったのかもしれません。

    攻守に高いインテンシティが求められるコンセプト(⇒出力を上げて動き続ける必要がある)なので、負傷者が多くなってしまうのはある程度仕方ないのかもしれませんが、それにしても今季はちょっと多すぎました。メディカル体制の見直しは今オフの必須案件になるでしょう。

終わりに

 個人的にとても楽しめたシーズンでした。勝って喜び、敗けて悔しがり、目先の一勝一敗に純粋に一喜一憂できたというのは、素直にこのチームを「良いチーム」、「結果として報われてほしいチーム」に思えたということなのでしょう。

 だからこそ、岡山よりも上の順位で終わったチームたちとの「紙一重なのかもしれないけど、確実に付いている差」を痛感するシーズンでもありました。それはチーム戦術の練度の差であり、一人一人のボールを止める・蹴る・運ぶ・奪う・オフザボールの精度の差であり、負傷者が多くなってもそれを埋めて余りある選手が出てくる選手層の差であり…その他にも色々な差があるのだと思います。

 しかし今の有馬体制は、その差を追い付き、追い越せるのではないか、そんな近未来への期待を感じさせるようなチームとしての積み上げをしてきているように思います。足りない部分は伸びしろです。現場を支えるためにも、落とせるお金は落としましょう。シーズンパス買いましょう。ファジフーズ食べましょう。

最後に、今季リーグ戦42試合のマッチレビュー(備忘録)をまとめたマガジンを貼っておきます。こちらもどうぞご覧くださいませ。



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