初めて上司とぶつかりあえたかもしれない

わたしの会社は結構、会社と現場が二分立しているような環境だ。どちらかというと現場のことばかり考える日々が多く、なかなか会社の組織自体に目を向ける意識をつけることは初めは難しい。すなわち、わたしのような入社2年目のペーペーにとっては現場で覚えることが山ほどすぎて「会社とは?」状態になっているのはあながち間違いでは無いのだ。現場で結果を残すことが会社のためになっていることは承知なのだが。まず、会社のために、という気持ちの前に、部のために、という気持ちの方が先行する人は多いと思う。

しかし、一年目の後半頃から会社としての「組織」という枠組みについて考えさせられる、そして、人よりも会社や社員に関する情報が入ってくる、そんなポジションを任されるようになった。これがきっかけで社員から仕事について話をじっくり聞く時間や、自分の知らない考え方や会社の歴史など、自分が吸収できる情報が一気に多くなった。つまり、特権ができたのだ。

しかし、今回それによって招かれたことがあった。わたしはとあることで、ある社員の「○○もしたいな」というさりげない一言に心が動いた。その一言がこぼれたのを横で感じて、素直に、給料ではなく、善意でその人のためにやってみようという気になったのだ。その人はそんなに深くは求めていなかったかもしれないが。

わたしは週末明けに上長との面談を控えていたので、その時に許可を取ろう、上長ならきっと了承してくれるだろうと疑いもしていなかった。何にせよ、一番の原動力はアウトプットができる機会があったことだと思う。こういう小さなことを自分のチャンスに結びつけられる力が蓄えられるなら、どういう未来が待ってるだろう、とか、少なからず成長できるんじゃないかな、とか、少しずつ変わることができるんじゃないかな、というような自己のステップアップに想いを馳せた気持ちの方が大きかった。だから出勤簿にもそもそもつける気はなくて、わざわざ休日の時間を使ってまでやってやったぞ感は全くなかったのだ。この気持ちを持つことができていたことすら自分の中で何かが変わってきているんじゃないかと不思議に思ってしまうくらいだ。

アウトプットをして、それを共有してもよいか、上長に確認をとる時間がやってきた。わたしは、いいじゃん、いいよと言われるものばかりだと思っていたので、結構軽いノリで聞いていた。しかしながら、上長の一言目は「それをする目的は?」という意図付けを確かめる質問。正直、理由なんてなにも考えていないことに気づいた。ただ、「want」という他者の気持ちに触れたこと、その「want」に応えたかったというような主観的な理由しか出てこなかった。わたしは、これをきっかけに初めて「組織」というコンテンツに一応注目して自主的に取り組んだけれども、一方で「会社」という「組織」に関わることをコンテンツ化することは意外とセンシティブであることを初めて知ったのだ。さらに自分が共有したものが人によってどんな受け取り方をするのか、どんな影響を及ぼすのか、どんな偏った考え方を促進させてしまう恐れがあるのか、というようなことを一切考えられていなかったことに気づいた。自分がよかろうと思ってやったことがどういう意味をもたらす恐れがあるのかなんて、そんなに深く考えてこなかった結果かもしれない。

訳もわからず涙が出た。敗北の瞬間だ。上司の口調が少し強く感じてしまったのと、自分は客観的な思考または、物事の全体像を捉えられるような知能がまだまだ備わっていないことへの悲しみの涙だ。自分がやったことが無駄になってしまったなんて思わない。だってクリエイティブな人ってみんなそうでしょ?奇才なアイデアの背景には数え切れないほどのドラフトが存在する。だから、それは別によいのだ、結果よりも課程重視の人間、つまり、わたしにとってはそれがボツになってしまったことはどうでもよいのだ。

まあ、少なからず精神的なショックを受けたのは間違いないし、元々、その面談は違う話をしようということで設定されてあったものだったので、その話に区切りがついた後に話を本題に戻そうとしても、わたしがずっと泣いているので話も進めるに進めない。わたしももうそんなテンションなのに言い出したくない。申し訳ないが上長の貴重な1時間を無駄にしてしまった気分だ。わたしにとっての1時間としては別に無駄だったなあなんて思わないが、仕事量が多い上長がせっかく作ってくれた1時間だったのに。本当になんでわたしはいつもこうなんだろうと惨めになった、心の中でずっと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

でも、いろいろ気持ちをリセットして1日を終えた今では、今日起こったことは自分がビジネスパーソンになってから、初めてのような良い時間だったと感じる。わたし的には非常に学びのある時間。そして、経営・マネジメントの難しさを感じた瞬間だった。いつも上長にデトックスという形で話を聞いてもらっていたが、初めて、同じ組織に所属するものとして、ぶつかることができた。ぶつかったと思っているのはわたしの方だけかもしれないけど、ぶつかることができてよかったなあって思った。そんな気持ちは社会人になって初めてだったので残しておきたいと思いこれを執筆。

※個人的な備忘録なので話の背景がわかりづらく読みにくいとは思いますが、もし、最後まで読んでいただいたのならこの場で感謝申し上げます。これからもお仕事頑張ります。

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