「ITガラパゴス:情報システム子会社」
やはり、日本のDXの片棒を担いでもらわないといけないIT部門が本来の役割を果たしていないこと、無知な経営が、それの本質を理解できずに放置したままDXだと言って、その意味もわからないまま、ITベンダーの営業出身者(調子のいい売り子のリーダー)をCDOにもって来たりして、益々迷走することなっている根本問題について言及せざるを得ないと思います。
それは、無知な経営の産物であり、奇しくも失われた30年と同期している日本固有の組織である、情報システム子会社の存在です。
情報システム子会社
高度情報化時代の到来を予感した1980年代から90年代にかけて、大手企業を中心に自社システムの開発と保守・運用を担う情報システム子会社を設立しました。「将来34兆円の市場になるといわれた情報システム市場に参入する」などと、勇ましいことを言ってスピンアウトして設立した会社もありましたが、現在、そのほとんどが自社システムの開発・保守・運用専用子会社となっています。
日々価値を削るエンジニアたち
保守・運用を担うエンジニアは、バックログやバージョンアップに追われ、新しいことにチャレンジする機会を持てないまま、日々エンジニアとしての価値を削っていると言っても過言ではありません。
開発を担うエンジニアも、日本特有のバッチ中心の既存基幹システムを前提とせざるを得ず、真っ当な設計のシステムを構築することはできないので、最新の環境であっても、やることは古いままで、エンジニアとしての価値を削っています。
幸せなのは上がりを待つおじさんだけ
つまり、幸せになっているのは、上がりを待つだけの親会社子会社の無知な経営陣や幹部社員と、リスクも仕事も丸投げして問題はすべて子会社のせいにすれば仕事をしたことになる親会社の発注部門の人たちで、日々価値を削っているエンジニアはもとより、本来自分でやるべきことを丸投げしてしまってあたりまえのスキル習得機会を失っている未来のある親会社の従業員、非競争領域に経営資源を投入しているだけでなく日々人的資源を価値毀損している親会社の株主やお客様は、きっと気づいていませんが、チャンスロスを被っているでしょう。
情報システム部門の役割
では、情報システム子会社を含めた情報システム部門は、どうすればいいのでしょう。それは、大きく以下3つのミッションを担うことです。
データの管理と継承・活用推進
非競争領域の優位性追求
情報セキュリティの確保
全ての活動はこの3つのミッションを高度にやり遂げることを前提に設計し、そのために組織を最適化するということです。
情報システム子会社についても、その最適化のプロセスにおいて取り扱いを決めていくということでしょう。
設計において留意すべきは、仮想化技術の進展によって情報システムにおけるサービスの分業化が急激に進んでいるということです。
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