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「DXのステージ4.0:社会改革」

DXの定義とレイヤーでは、レイヤー別の取り組みの視点とレイヤー間にはお互いに依存関係があることを解説しました。そこで今回はDXのステージ(進階)について書いていこうと思います。

DXのステージ(進階)

DXを考える上でのステージは、DX0.0からDX4.0までの以下5つのステージで考えると構造的に理解しやすいと考えています。

  • DX0.0:働き方改革⇒一人ひとりの個人のワークインライフの充実

  • DX1.0:業務改革⇒顧客価値提供のために最適化された社内業務プロセス

  • DX2.0:組織改革⇒市場競争力を最大化したエコシステム

  • DX3.0:事業改革⇒高い参入障壁で代替不能/困難なビジネスモデル

  • DX4.0:社会改革⇒自他共に認識される社会における高い存在価値

DX4.0:社会改革

DXのステージ4.0:社会改革では、個人や企業・団体、業界、産業界、学界など様々な社会を構成する存在にとって、その規模如何を問わず、必要不可欠で代替不能な存在として自他ともに認知し、高い存在価値を発揮している状態となることです。

そして、社会にとって必要不可欠で代替不能な存在であるということは、社会課題の解決に寄与し、一定の社会的価値を提供しているとともに、常に社会課題の解決を目指し期待されているということです。

必要不可欠で代替不能であることだけに着目すれば、必ずしもデジタルである必要性がないように思えますが、社会がデジタル変容し、Web3.0が到来し、そう遠くない将来に、今までの物理空間中心から論理空間(サイバー空間)中心に転換する社会においては、デジタル化されていることが社会の一員として存在する第一条件なのです。

そして、ステージ4.0での一人ひとり個人のレイヤーは、高度に各種の価値提供エコシステムを活用したエコシステムを形成し、効果的な知識習得やノウハウ・スキル修得によって自己認識の壁を越えた非連続成長によって、業務の最適化や高い創造性を通じて組織(エコシステム)に対して高い価値を提供している状態となる必要があります。当然のことながら、業務オペレーションはエコシステム全体と高速かつ高度に連動して、必要不可欠で代替不能な事業を支え、事業間も高度に連携して新しい価値の創造が常時行われている状態となることで、デジタル変容する社会の変革をリードできる存在となれるわけです。

日本の課題

ここまで、DXのステージについてつづってきましたが、とても虚しくなってくるのは、ITガラパゴスの日本で書いたように、実業を行う日本企業の基幹業務システムがバッチ中心でオンラインリアルタイムベースになっていないこと、そしてオンラインリアルタイムに転換するための技術者が圧倒的に不足しているということです。
本来なら、コンピュータとネットワークによって作られた論理空間に、物理制約を外した業務プロセスがソフトウェア化されて存在し、全体最適を追求できる環境があって然るべきなのに、日本の実業を行う企業にはありません。ソフトウェア化する技術者も極々少数です。
したがって、DX1.0:業務改革までは、あくまで自社基準でなんとかなるかもしれませんが、DX2.0:組織改革は、一部しかできないのです。
当然、Web3.0世界の住人として一定以上のスケールで価値を提供することもままならないでしょう。バッチでつないでも勝てません。
やはり、日本以外では常識化して話題にすら上らないソフトウェアエンジニアリングを復活させ、論理空間を理解し、ERPを正しく導入できるエンジニアを増やしていくしかないと思います。

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