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「DX成功の鍵:ITエンジニアの主体性」

分業化の進展

仮想化技術の進歩によって情報システムに関する分業化が進んだことについては、以前書いた記事の中で次のように言及しました。

  • サービスと機器の利用者(一般事業者)

  • SaaS事業者(PaaS,IaaSの利用者)

  • IaaS事業者(含むPaaS事業者(IaaSの利用者))

  • PC等デバイス機器事業者

  • ネットワーク機器事業者

  • ネットワークサービス事業者

  • サーバー機器製造事業者

収斂されてきたIT部門の役割

そして、一般事業者におけるIT部門の役割が鮮明になってきていることも、以前書いた日本固有に存在することになってしまった情報システム子会社に関する記事の中で次のように言及しました。

  • データの管理と継承・活用推進

  • 非競争領域の優位性追求

  • 情報セキュリティの確保

PCやネットワーク機器などのデバイスやライセンスなどの資産管理は実務としてはありますが、上記3つのミッションから要件を明確化したうえで、キッティングや設定はIT部門で担当するとしても、現物の設置や保守などの管理は所謂管財部門の仕事として考えることもできるようになっています。

無駄遣いされるITエンジニア

一方、現在、日本の様々な職場で働いているITエンジニアのほとんどは、IT土方と自虐する仕事に従事し、日々心身を削りながらエンジニアとしての価値を毀損している奴隷的日々を送っています。このままでは、日本の産業全体の競争力という観点でも、チャンスロス(労働力の無駄遣い)も甚だしい限りです。

ITエンジニアの再配置

では、その志向やスキルによって、ITエンジニアは、どう自分たちの価値を活かし磨いていける場を見つければいいのでしょうか?また、経営者は、ITエンジニアに、どう彼らの価値を活かし磨いていける場を見つけてもらえば、あるいは、作っていけばいいのでしょうか?

主体性確保が原則

まず、考えなければならない大原則は、受託であれ請負であれ、主体性を持つことが極めて困難な役務提供業務(奴隷仕事)を業界から無くしていくこと。全てはこれに尽きると言っていいでしょう。

再配置例

つまり、全ての問題は一般事業者向けに従事するITエンジニアの仕事にあるので、以下のように再配置を考えていけばいいと思います。

  1. 競争領域と非競争領域を峻別する。

    1. 競争領域のアプリケーションの開発・保守は所管部門が自部門で実施する。
      ⇒本当に競争領域なのかは厳しく評価する必要あり。

    2. 非競争領域のアプリ―ケーションは、SaaSに切り替える。

  2. データガバナンスを徹底し、統合環境にデータレイクとデータウェアハウスに蓄積し、アプリケーションの劣化や切り替え影響を最小化するとともに、データを資産化し、人治・法治からデータ治にシフトする。

    1. 権限移譲の拡大(オーディット機能の充実)

    2. 全体最適の追求(シミュレーション機能の充実)

    3. 全員参画の推進(共有知の拡大)

  3. 情報システム子会社や親会社IT部門をミッション起点で再編成する。

    1. 子会社や親会社のエンジニアの一部は、転籍または異動により役務提供型の下請け業務から解放する。

      1. 競争領域の所管部門で対象業務を所管し、アプリケーションの開発・保守を主体的に実施する仕事に従事する。

      2. 親会社IT部門で、非競争領域のSaaSへの切り替え、徹底活用(データ抽出を含む)をリードする仕事に従事する。

      3. 親会社IT部門で、データガバナンスとデータレイク・データウェアハウスの管理(当面は活用推進含む)の仕事に従事する。

      4. 親会社IT部門で、情報セキュリティおよび、デバイス&ネットワーク管理の仕事に従事する。
        (PCやネットワーク接続機器などネットワークとデバイスの管理は全てソフトウェア化する)

    2. SaaSのない非競争領域については、競合含めた他社との協業によるSaaS事業化を検討する。

    3. PCやネットワーク接続機器の管理(調達・設置・保守)は、管財業務を所管する部門に移管する。

#デジタルトランスフォーメーション
#DX

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