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「アリバイマネジメントシステムの対極がDX」

DXのゴールと前提条件

DXのゴールは、残念がらもはや日本以外に目を向けないといけないかもしれませんが、グローバルには容赦なくデジタル変容する社会において、必要不可欠で代替不能な存在として価値を発揮するだけでなく、より良い社会に向けて社会の変革をもリードすることにあります。

そのためには、
「デジタル化してコンピュータのパワーをフルに活用する」=「コンピュータとネットワークで作った論理空間上に企業活動をソフトウェア化する」
ことによって、資料作成/取次業務/調整業務/議論しない会議など、顧客に受け取っていただく価値の創造に寄与しない業務を極小化、できれば完全除去し、一人ひとりの力を最大限に活用できるよう整備して総力戦を戦える状態にすることが前提条件です。

アリバイ目的化しやすいマネジメントシステム

一方、DXに取り組む多くの従来型企業ではピラミッド型の組織で運営され、その形態にあったマネジメントシステムが導入されていることでしょう。
そして、そのマネジメントシステムを動かすために費やされる時間の多くは、報告や取次や調整など、ほとんどの場合、組織の維持目的(各人のアリバイ目的)に使われ、貴重な人財の時間とエネルギーを消費する割には顧客への価値向上に貢献することはないと言っても過言ではないでしょう。

マネジメントシステムとは、組織の方針や目標を定め、その目標を達成するために組織を管理する仕組みのことをいいます。一言で言ってしまうと、「組織を効率的に動かす仕組み」がマネジメントシステムです。
https://activation-service.jp/iso/column/2735

マネジメントシステムの国際規格

そして、そのマネジメントシステムには目的別の国際規格があり、認証とセットで採用され導入されているケースが多々あります。よく会社や工場の表門にISO〇〇認証取得事業所とかいう看板がかかっていますし、名刺のマークが印刷されていますね!

ISO 9001 品質マネジメントシステム規格
顧客の要求する製品・サービスを提供するため、継続的にマネジメントシステムを改善し続けることを求めた規格。

ISO 14001 環境マネジメントシステム規格
組織の活動、製品・サービスが環境に与える直接的/間接的な影響を低減し、環境への悪影響を与える事故の発生を予防するため、継続的にマネジメントシステムを改善し続けることを求めた規格。

ISO 45001 労働安全衛生マネジメントシステム規格
職場における労働衛生災害リスクの低減と、将来の発生リスクを回避するため、継続的にマネジメントシステムを改善し続けることを求めた規格。

ISO 27001 情報セキュリティマネジメントシステム規格
自治体、民間企業などの組織化目的を問わず、情報セキュリティ管理の仕組みについて規定した規格。

ISO 22000 食品安全マネジメントシステム規格
食品安全確保のため、食品業界特有の要求事項で構成されるマネジメントシステム規格。食品安全システムをいかに構築し維持し続けるかについて、食品製造業者を指導するものになると考えられています。

IATF 16949 自動車産業の品質マネジメントシステム規格
ISO 9001をベースに自動車業界特有の要求事項を付加し、サプライチェーンにおける欠陥の予防、ばらつきやムダ低減に重点をおいた規格。

ISO 13485 医療機器の品質マネジメントシステム規格
医療機器は人命や健康維持に大きな影響を持っているため、滅菌、リスクマネジメント活動、清浄・清潔・汚染防止といった衛生面での厳格な医療機器特有の要求事項がISO 9001に追加されており、文書化の要求が多いのも特徴。
https://gtc.co.jp/iso/info/managementsystem.html

これら、ISOのマネジメントシステム以外にもプロジェクトマネジメントの世界標準と称するPMBOKなどもあります。

常にアリバイ目的化解消点検が必須

特に国際標準と言われるマネジメントシステム規格は権威付けもあり、私の知る限り、導入当初は意識改革も含めて一定の意味はあったと思いますが、数年経つと陳腐化し、事実上、関係の薄くなった現場にとってはただ対応しなければならないものでしかなく、所管部門にとっては検査合格の継続のみが目的化してしまっているのにやめられないものになっているケースも多々あり、顧客に受け取っていただく価値創出に本当に寄与しているかどうかはかなり怪しいケースが多くなっていると思われます。
導入している企業は、その点についてしっかり点検する必要があるでしょう。

更にPMBOKなどのIT関係のマネジメントシステムには注意していただきたい。内容そのものに異論があるわけではありませんが、その使われ方が、マネージャや責任者およびベンダーの、ちゃんとやっていますというアリバイや何かあったときのトカゲの尻尾切り目的になっている可能性が否めないからです。

プロジェクトの規模や特性に応じた適用の吟味は、往々にして念のためが多くなることで、きちんと取捨選択されることなく大量の無意味なドキュメントを作成する。そのドキュメントの内容を評価&承認する会議を開催し、多くの人が巻き込まれる。マネジメントシステムのために単価の高いエンジニアの工数を浪費する事になりやすい割には実質的に機能しない可能性があります。

人もお金も時間も無駄にしないよう適切な運用をしてほしいものです。

しかし、一般には利害一致によって一蓮托生化しているので、監査役や監査部門の登場が必要になる気がします。

価値がない仕事を放置する企業体質はDXの対極

どんなに素晴らしいマネジメントシステムやメソドロジーでも陳腐化/アリバイシステム化させ、しかもそれを放置する企業体質は、DXの対極にあるもので、まさに革新の対象ではありますが、強い抵抗の源泉になるものでもあります。
それはつまり理屈を嫌い、論理空間をみようとせず、手っ取り早い手法に飛びついて、本来のマネジメントシステムの本質を理解しようとしない日本人の特性にも起因する事を踏まえて、DXを推進する必要があると言うことです。

トップの強い決意なしでDXなんて進むわけありませんね!

#DX
#デジタルトランスフォーメーション

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