「アリバイマネジメントシステムの対極がDX」
DXのゴールと前提条件
DXのゴールは、残念がらもはや日本以外に目を向けないといけないかもしれませんが、グローバルには容赦なくデジタル変容する社会において、必要不可欠で代替不能な存在として価値を発揮するだけでなく、より良い社会に向けて社会の変革をもリードすることにあります。
そのためには、
「デジタル化してコンピュータのパワーをフルに活用する」=「コンピュータとネットワークで作った論理空間上に企業活動をソフトウェア化する」
ことによって、資料作成/取次業務/調整業務/議論しない会議など、顧客に受け取っていただく価値の創造に寄与しない業務を極小化、できれば完全除去し、一人ひとりの力を最大限に活用できるよう整備して総力戦を戦える状態にすることが前提条件です。
アリバイ目的化しやすいマネジメントシステム
一方、DXに取り組む多くの従来型企業ではピラミッド型の組織で運営され、その形態にあったマネジメントシステムが導入されていることでしょう。
そして、そのマネジメントシステムを動かすために費やされる時間の多くは、報告や取次や調整など、ほとんどの場合、組織の維持目的(各人のアリバイ目的)に使われ、貴重な人財の時間とエネルギーを消費する割には顧客への価値向上に貢献することはないと言っても過言ではないでしょう。
マネジメントシステムの国際規格
そして、そのマネジメントシステムには目的別の国際規格があり、認証とセットで採用され導入されているケースが多々あります。よく会社や工場の表門にISO〇〇認証取得事業所とかいう看板がかかっていますし、名刺のマークが印刷されていますね!
これら、ISOのマネジメントシステム以外にもプロジェクトマネジメントの世界標準と称するPMBOKなどもあります。
常にアリバイ目的化解消点検が必須
特に国際標準と言われるマネジメントシステム規格は権威付けもあり、私の知る限り、導入当初は意識改革も含めて一定の意味はあったと思いますが、数年経つと陳腐化し、事実上、関係の薄くなった現場にとってはただ対応しなければならないものでしかなく、所管部門にとっては検査合格の継続のみが目的化してしまっているのにやめられないものになっているケースも多々あり、顧客に受け取っていただく価値創出に本当に寄与しているかどうかはかなり怪しいケースが多くなっていると思われます。
導入している企業は、その点についてしっかり点検する必要があるでしょう。
更にPMBOKなどのIT関係のマネジメントシステムには注意していただきたい。内容そのものに異論があるわけではありませんが、その使われ方が、マネージャや責任者およびベンダーの、ちゃんとやっていますというアリバイや何かあったときのトカゲの尻尾切り目的になっている可能性が否めないからです。
プロジェクトの規模や特性に応じた適用の吟味は、往々にして念のためが多くなることで、きちんと取捨選択されることなく大量の無意味なドキュメントを作成する。そのドキュメントの内容を評価&承認する会議を開催し、多くの人が巻き込まれる。マネジメントシステムのために単価の高いエンジニアの工数を浪費する事になりやすい割には実質的に機能しない可能性があります。
人もお金も時間も無駄にしないよう適切な運用をしてほしいものです。
しかし、一般には利害一致によって一蓮托生化しているので、監査役や監査部門の登場が必要になる気がします。
価値がない仕事を放置する企業体質はDXの対極
どんなに素晴らしいマネジメントシステムやメソドロジーでも陳腐化/アリバイシステム化させ、しかもそれを放置する企業体質は、DXの対極にあるもので、まさに革新の対象ではありますが、強い抵抗の源泉になるものでもあります。
それはつまり理屈を嫌い、論理空間をみようとせず、手っ取り早い手法に飛びついて、本来のマネジメントシステムの本質を理解しようとしない日本人の特性にも起因する事を踏まえて、DXを推進する必要があると言うことです。
トップの強い決意なしでDXなんて進むわけありませんね!
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